Dr.STONE 188話感想 ~週刊少年ジャンプがしんどい~
思ってたよりもずっと彼らが死を隣にあるものと捉えていてびっくりした。
なんだかんだ、死にそうな…いや、死んでもおかしくない場面はこれまで幾度となくあった。その度に、漫画のテーマである科学の力だったり、あるいは周囲の人々の手助けだったり、何よりも運が良くてここまで生き延びていた。
コハクが石神村で最初の方に村の人数を言う場面、「隠居と子どもの数は忘れた」と言う。これは戦力(=戦闘、狩り、家事、他生きるため、生活の為の力)になる数は日々の生活を回していく上で把握していないといけない数だから覚えているが、戦力にならない数は覚えていない、程度に捉えていたのだが、以前に戦力にならない程度の子どもと年寄りは、そもそも体が弱くいつ死んでもおかしくないから、そもそも勘定に入れられないのではないかという意見を見て納得した。
序盤で千空が「病気=死」と言っているこの世界では、免疫力の弱い子どもと年寄りはとてつもない弱者だ。そして石神村の地形も、海風に晒されることを引いても野生動物に一斉に襲われないような地形を選んだとも言える。
だからきっと他のメンバーよりもコハク達、石神村…というか、この世界の生き残りの人たちは、現代人の私(読者)よりもよっぽど死に対して自覚的で、常に隣り合わせのものだったんだと思う。
司は一度死にかけ、しかも石化していない生身の人間の千空を手にかけた過去もある。そして氷月も仲間を見殺しにしている過去がある。
3人とも、作中で死が隣にいるということに対して、比較的自覚があるメンバーだったと、ゆっくり考えると思う。読み返しても全員本当に死ぬんだと覚悟して戦ってた。零戦の神風特攻のような、死んでも戦果を上げる意志がどの台詞にもちゃんとあった。
でも、読んでいる私が現代人だった。
正確には平和ボケした現代日本人だった。
前回コハクがアメリカ組に突っ込まずに全体を俯瞰して、今回大ゴマでめちゃつよっぽいマヤに打ち勝った司、それこそ前回ギリギリの場面を冷静な状況判断で舌戦を制したフランソワ、誰かがどこかで勝ちの流れを引き寄せると思った。平和ボケした私は。
なんだかんだ今までのドクストは、首の皮一枚繋がるような最後の切り札がマジックのタネのように仕込まれていて、ギリギリのところで披露される。
千空はここまで科学一辺倒なようなキャラに見えて、どんな科学にも結局はマンパワーが必要なことを教えてくれて、自分がそのマンパワーという意味ではひ弱なことを自覚していて、たくさんのマンパワーを得るためには平和が大前提にあった。
科学の力で誰かを救っても、誰かを支配しようとしなかった。科学の恩恵の元にみんながいて、それを余すことなく享受するためにマンパワーが必要で、そのために千空が選んだのは平和だった。
アメリカ組は大半が軍人出ということもあって、たくさんのマンパワーを得る方法に、平和以外の方法があることを知っていた。千空が選ばなかったそれを。残念ながら科学技術と軍事産業の発展は切っても切り離せない。
さすが、アイシールドの稲垣先生…タクティクスがめちゃくちゃ巧み…
特に直近のチェルシーの出てきた辺りから追われてる身とはいえ、めちゃくちゃ順風満帆だったんだよね。チェルシーがハイテンションキャラだから、もうめちゃくちゃ少年ジャンプだった。「よっしゃー!」って感じの、オラ、ワクワクすっぞ!!って感じのジャンプだった。
そんなストーリーの中の今回の話は、読者とこのストーンワールドとの死と隣り合わせの感覚の差が如実に出た話で、本当にしんどい。
もうずっとジャンプがしんどい。
あっちで誰かが死に、あっちで誰かが殺され、あっちで誰かが死の淵をさまよっている。
私は昔から、本誌を毎週買ってても全部読むタイプの読者ではないので、今現在読んでるジャンプがだいたいしんどい。
もうマッシュルの圧倒的な力isパワーギャグと、あやトラのToLOVEるスケベを読むぐらいしか回避方法がない……
司が夜空に願った思いが薄くどこかに繋がって、どうにかいい着地点を見つけてほしい。ジャンプがしんどい。しんどくておもしれぇ。。。
いやぁ、「金が動いて 経済が回って 沢山の人が熱狂して 元気になって それでいて! 人があんまし死なない!」漫画ももっとジャンプに増えてくれ。同数ぐらいでバランス取ってもらわんときちぃ。。。