99%のプログラマは絶対に使うべきではない.NETのコードコントラクト

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コードコントラクト (Code Contracts)とは?

コードコントラクト(Code Contracts)は、.NET Framework 4.0 から導入された機能で、メソッドやクラスに対して前提条件(Preconditions)、事後条件(Postconditions)、および不変条件(Invariants)を明示的に定義するための仕組みを提供します。これによって、コードの意図を明確にし、バグの早期発見やドキュメントとしての役割を果たすことが期待されていました。

しかし、現代の.NET開発環境においては、コードコントラクトを新規プロジェクトで使用することは推奨されません。以下では、コードコントラクトを使うべきではない理由と、その代替手段について詳しく説明します。


コードコントラクトを使うべきではない理由

1. 公式サポートの終了

.NET Framework 4.0 以降の開発者向けにドキュメントは一応残されていますが、公式ドキュメントにも明記されているように、コードコントラクトは「.NET Core および .NET 5 以降でサポートされていない」とされています。さらに、GitHub上のMicrosoft/CodeContractsリポジトリも2023年7月15日からアーカイブされており、事実上の開発停止状態です。最後のコミットは2017年3月12日であり、公式なサポートや更新が行われていないことが確認できます。

2. 限定的なツールチェーン

コードコントラクトは特定の静的解析ツールやランタイムチェックに依存していたようで、Visual Studioの標準的な開発には組み込まれませんでした。

3. 学習曲線の高さ

契約プログラミングの概念を知らない人たちにとっては、まずこの概念を学ぶ必要があり、そのためには時間と労力が必要です。コードコントラクトを使えるようになるまでの学習曲線が高かったのも、流行らなかった一因かもしれません。

契約プログラミングの考え方は非常に良いですし、他言語でも契約プログラミングの導入の試みはあるんですけどね。

4. 実用性とメリットの不明瞭さ

コードコントラクトが提供していた、例えば PureAttribute (Pure属性)を付与したとしても、実際のコード品質や信頼性の向上に直結しない場合が多く、有用性がよく分からなかったようです。結局のところ、他の設計原則に従ったり、コードレビューを行うことで、コードの品質を上げられるケースが多かったようです。.NETコードコントラクトの目標やツールが提供するメリットが中途半端だったみたいですね。

5. 代替ツールの台頭

その後、FxCop AnalyzersやRoslynベースのコードアナライザーなど、より柔軟で強力な静的解析ツールが登場し、これらが開発者の間で広く採用されるようになりました。C#言語の進歩によってnull非許容のチェックができるようにもなりました。これにより、コードコントラクトの必要性がますます低下しました。

使用を避けるべきクラスや属性一覧

コードコントラクト関連のクラスや属性は以下の通りです。これらを新規プロジェクトで使用することは避けるべきです。既存のコードでPure属性などを見かけたとしても、通常は無視して構わないはずです。

  • System.Diagnostics.Contracts 名前空間以下のクラス・属性など

    • Contract クラス

      • Contract.Requires, Contract.Ensures など

    • ContractAbbreviatorAttribute クラス (ContractAbbreviator 属性)

    • ContractArgumentValidatorAttribute クラス (ContractArgumentValidator 属性)

    • ContractClassAttribute クラス (ContractClass 属性)

    • ContractClassForAttribute クラス (ContractClassFor 属性)

    • ContractFailedEventArgs クラス

    • ContractFailureKind 列挙型

    • ContractInvariantMethodAttribute クラス (ContractInvariantMethod 属性)

    • ContractOptionAttribute クラス (ContractOption 属性)

    • ContractPublicPropertyNameAttribute クラス (ContractPublicPropertyName 属性)

    • ContractReferenceAssemblyAttribute クラス (ContractReferenceAssembly 属性)

    • ContractRuntimeIgnoredAttribute クラス (ContractRuntimeIgnored 属性)

    • ContractVerificationAttribute クラス (ContractVerification 属性)

    • PureAttribute クラス (Pure 属性)

代替手段

コードコントラクトの代替として、以下の手法やツールが推奨されます。

1. 静的解析ツール

Roslyn Analyzersなどの静的解析ツールを活用することで、コードの品質や規約違反を自動的に検出・修正できます。これらのツールは、現代の開発環境に適応しており、継続的インテグレーション(CI)でも使いやすいです。

コンパイラの機能を使うこともおすすめです。コンパイラによるnull非許容のチェックを入れることを強くお勧めします。すべての警告を有効にすることもおすすめです。

2. テストフレームワークによるテスト

xUnit, NUnit, MSTestなどのテストフレームワークを使用して、ユニットテストや統合テストを行えます。これによって、コードの動作を自動的に検証して、リグレッションを防止できます。

3. ガード節 (Guard Clauses)

コード内で明示的に条件をチェックする手法です。契約違反時には例外をスローすることで、問題を早期に検出できます。

public void DoSomething(string input)
{
    if (string.IsNullOrEmpty(input))
        throw new ArgumentException("Input cannot be null or empty.", nameof(input));
    // 以下メソッドのロジック
}

このコード例からわかる通り、事前条件のチェックそのものですね。

まとめ

コードコントラクト(Code Contracts)は、.NET Framework 4.0 で導入された強力な機能でしたが、公式サポートの終了や代替ツールの台頭により、現代の開発環境では使用すべきではありません。ContractClassAttribute (ContractClass属性)など関連クラスや属性も事実上非推奨であるかのような扱いとなっており、新規プロジェクトでの採用は避けるべきです。

代わりに、Roslyn Analyzersや最新のテストフレームワーク、ガード節などの手法を活用することで、コードの品質と信頼性を維持・向上させることが可能です。これらの代替手段を積極的に使うことによって保守性の高いソフトウェア開発を目指しましょう。

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