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コミュニティナースとしても出発

「おせっかい」が紡ぐ、地域の未来

近年、地域コミュニティの希薄化が叫ばれて久しい。特に都市部では、隣人の顔さえ知らないということも珍しくない時代です。そんな中、地域を再び活性化させ、住民一人ひとりが生き生きと暮らせるコミュニティを築くためには、何が必要なのでしょうか?

私は、その鍵は「おせっかい」にあると考えています。

一昔前、地域には必ずと言っていいほど「おせっかいなおばちゃん」が存在していました。道端で転べば、すかさず駆け寄ってきて「大丈夫ね?」と声をかけてくれる。迷子になれば、一緒になって親を探してくれる。そんな「おせっかい」が、かつての地域コミュニティには溢れていました。

しかし、現代社会では、個人主義が浸透し、人間関係が希薄になっています。「おせっかい」という言葉自体にネガティブなイメージを持つ人も多いでしょう。でも、本来「おせっかい」とは、相手を思いやる気持ちから生まれる、温かい行為のはずです。

先日、私はコミュニティナース「健康おせっかい」ベーシック講座を受講しました。この講座では、島根県雲南市で活動するコミュニティナースの宮本さん・いまこさんが、実際の経験をもとにしたストーリーを通じて、「健康おせっかい」のエッセンスを教えてくれました。

講座で学んだのは、以下の5つのポイントです。

  1. 関係をきずく:まずは相手との信頼関係を築くこと。

  2. つぶやきをひろう:小さな声に耳を傾け、気づきを大切にすること。

  3. まずはやってみる:完璧を目指さず、行動を起こすこと。

  4. 共通の物語にする:地域住民と共に課題を共有し、解決に向けて歩むこと。

  5. 健康のイメージを広く持つ:心身だけでなく、社会的な健康も視野に入れること。

これらの学びを通じて、私は「おせっかい」が持つ力を再認識しました。「おせっかい」は、相手の「損失回避」の心理的ハードルを下げ、支援の輪を広げる「ナッジ」になり得るのです。挨拶をする、世間話をする、困っている人がいたら手を差し伸べる。そんな小さな「Give」の積み重ねが、やがて大きな信頼関係を生み、互いに支え合えるコミュニティを築き上げていくのだと確信しました。

来年度は、大学院に進学し、地域のエンパワメントやソーシャルキャピタルについて研究を深めていきたいと考えています。研究者としての知見を活かしつつ、実践者としても地域に根差した活動を続け、コミュニティナースの理念を広めていきたいです。

地域の未来は、私たち一人ひとりの「おせっかい」にかかっているのかもしれません。これからも、学びと実践を重ねながら、地域の絆を紡ぐ一員であり続けたいと思います。


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