カズイに関する考察


はじめに

DECO*27、山中拓也、OTOIROによる「音楽による裁判員制度」視聴者参加型楽曲プロジェクト『MILGRAM-ミルグラム-』(https://milgram.jp/)の囚人番号7番、カズイについての仮説です。第一審のMV、ドラマパート、アプリのタイムラインを参考にしています。
MVのリンクはこちら

概要

1.カズイが殺したのは血のつながった姉(MVで家にいる黒髪?の女性)
2.姉の死因は自殺(「殺した」という表現はかなり恣意的に使われている)

人間関係の整理

まず、カズイは既婚者だ(左手の薬指に指輪をつけていることから)。子供はいない(アプリTIMELINEより)。
カズイの配偶者は、BARでカズイと酒を飲んでいる長髪の女性である(根拠は下で説明する)。
次に、ポニーテールの女性(家らしき場所にいるほう)はカズイの姉もしくは妹、いとこなど血縁者だ。
そして、この女性もまた結婚をしている(MVの2:33付近で結婚指輪が見える)。

出来事の整理

時系列順に書きます。()内は根拠となるMVの描写箇所。
a.カズイ、姉に恋する(0:22)
b.カズイ、長髪の女性とデートをする(0:56)
c.カズイ、長髪の女性と結婚する(描写なし/結婚指輪は1:12で出現)
d.カズイ、姉への想いを再認識する(2:15)
e.姉、カズイに想いを伝える(2:29)
f.カズイ、姉の告白を断る(2:35)
g.姉、自殺する(3:25)

カズイが姉に恋したとする根拠(出来事a~cまで)

カズイのMVで最初に登場しスポットライトが当たっているのは緑色の林檎である。一見毒々しい色で、毒リンゴ=手を出してはいけないもの、を意味しているように見える。一方で、まだ熟していない青い果実=実っていない恋を意味しているようでもある。
歌詞を見るに、カズイが「はみ出した恋」をしたことは明確で、カズイが結婚指輪をしていることから浮気と見るのが自然かもしれない。
だが、「はみ出した恋」の象徴として扱われている緑の林檎はMVの最初から登場しており、単なる浮気だとすれば時系列に矛盾があるように思える。
このことから、結婚前から恋をしている女性がいたと思われる。さらに、歌詞にて「あなたの心が変わってくれたらなんてありえない」と語っており、恋が実ることがあり得ない相手、つまり血縁もしくは既婚者だとわかる。
ポニーテールの女性はMVの0:56で描かれるが、カズイと2人きりになっている。このことから、既婚者である可能性はかなり低い。
また、これが自分の中では最も強固だが、ポニーテールの女性とカズイの髪色は全く同じだ。
目視レベルでは全く同じ色であるし、MVをスクリーンショットしツールで色を分析したが、意図を持って同じにしていることが明らかなほど値が近い。
さらに、MVタイトルの「half」はカズイが中途半端な人間であることを第一に意味しているだろうが、同時に「片割れ」としてのきょうだいのニュアンスを含んでいると捉えることもできる。
加えて、カズイのMVはカズイの結婚前から結婚後までの時系列をカバーしていると見れるが、歌詞では結婚前後を問わず「会える呪いが胸を縛る」と繰り返されている。カズイはボイスドラマを聞けばわかるがそれなりに倫理・道徳があり(あるいはそう演じており)、妻帯したのちに同年代の異性と会うことは通常考えづらい。このことから、結婚後も会える異性=血縁者なのではないか、と考えることができる。
「姉」であると考えたのは、好きな異性のタイプについて「屈託なく笑う子」と述べ、それが嘘だとユノに看破されている(アプリタイムラインより)ことから、その真逆というのは「姉」っぽくないか?と考えた。ここはかなり私の偏見が入っている。

長髪の女性がカズイの配偶者である根拠としては、消極的な説明になるが、まずMVの0:36から0:45にかけてカズイと長髪の女性が登場する際、カズイの左手薬指に指輪がない。カズイの指輪の位置は左手薬指の第二関節のすぐ下で、0:43でちらりとその箇所が映るが指輪がない。また、このシーンではほかのシーンと比べてかなり左手が隠されており、視聴者のミスリードを狙っているものと考えられる。
長髪の女性が登場するのは1:56からのBARのシーンが2度目だが、このときははっきりと指輪が描かれている。時系列として、未婚のタイミングで一度BARでデートをし、結婚後にもう一度訪れているのではないか、と私は考えている。

カズイが姉への想いを再認識してから自殺までの経緯(出来事d~f)

MV中には仮想したカズイが3人と観客のカズイが1人、合計4人のカズイが登場するが、最も「本心」に近いと思われるのは観客のカズイだ。髪を整えておらず服装も全員の中でもっとも飾らないいでたちで、「素」をイメージして描かれていると見ていいだろう。2:11からの描写で、舞台上のカズイに促され横を見た観客カズイが驚いて立ち上がり、その直後に緑色の林檎が描かれスポットライトが当たる。これは上で述べた結婚前からの恋、はみ出した恋であり、要するに姉への想いを結婚後も持っていたことを認識し驚いた、あるいは恐れおののいたと見ることができる。

また、2:29からの姉とカズイが向き合うパートでは、姉が何かをしゃべっているのに対しカズイは無言であり、姉の方から想いを告げられた(実は両思いだった)ことが明かされたと読める。これに対してカズイは、頬に差し伸べられた姉の手を取り外しており、告白を受け入れたのか断ったのか映像だけでは判断ができない。が、その後の歌詞で「会える呪いが胸を縛る」と再度言っており、仮に告白を受け入れて不倫をスタートしたならばこうは言わないだろう、告白を断ったが想いは残っているからこそ、また会えることがカズイを苦しめるのだろう、と見ることができ、よってカズイは姉の告白を断ったのだと考えられる。

歌詞の「隠し続けるのを不幸と呼ぶなら 言葉ひとつもあなたには届かない」の部分は、想いを明らかにした姉もカズイの気持ちには気づいており、姉が「気持ちを隠すのは不幸だ」と主張したのではないか。そして、それに対してカズイが「言葉一つもあなたには届かない」、姉とは意見が違うのだと考えたのではないか。カズイの中途半端さを考えれば、世間体だの互いの家庭だのをごたごたと考えて、気持ちを隠すべきだと考えただろうことは容易に想像できる。

そういった背景を考えると、前半と後半に二度出てくる「あなたの心が変わってくれたら なんてありえない」というフレーズは、前半では「(カズイの片思いだと思っている)姉が自分に恋心を向けてくれたらいいが、それはありえない」という意味で、後半では「互いに家庭や世間体を背負った今となっては、あなたの私への恋心がなくなってしまえばいいのに」という意味になっているのだろう。仮にそうだとすれば、この部分が非常に趣深くて歌詞の中で最も好きかもしれない。

姉の自殺については、3:15でベランダに立つ姉と3:23で誰もいなくなったベランダが描かれ、そして3:28で砕け散った林檎(思いが実っていたことが明らかになったので、青りんごが熟して赤くなっている)ことから投身自殺と思われる。原因はカズイに振られて行き場のない恋心に耐えられなくなったことだろう。

おまけ カズイの職業について

MV中に出てくる制服姿の男や、柔道と剣道を嗜んでいること(アプリのタイムラインで供述)、「制圧」という言葉のチョイスなど、警官あるいはもしかしたら自衛官などそういった職業に就いていたことが予想できる。


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