カズイMV「half」歌詞考察

はじめに

DECO*27、山中拓也、OTOIROによる「音楽による裁判員制度」視聴者参加型楽曲プロジェクト『MILGRAM-ミルグラム-』(https://milgram.jp/)の囚人番号7番、カズイについての記事です。

先日書いたこちらの仮説を基にしています。先にお読みください。
本記事の「」内は基本的に歌詞です。MVの概要欄より引用しました。
歌詞を一行ごと分け、どういう意味なのか、歌詞の背景にある考えや状況などを推測しています。
*(アスタリスク)がついた文が私のコメントです。

「また会える呪いが胸を縛る」
*姉への恋心を忘れたい、恋を断ち切りたいが、姉弟という関係上会えてしまうし、会う機会もある。
アプリのタイムラインで誕生日というのは久々に誰かと連絡するきっかけになると述べていたが、互いの誕生日の度にやりとりがあるなど、カズイが縁を断とうとしても難しかったと予想できる。カズイが中途半端な人物であるために、完全に縁を切る等の極端な行動に出ることはできなかった。

「「またね」が「終わり」って聞こえた気がしたんだ」
*カズイも姉も未婚の段階では、カズイは自分の片思いだと考えている。そのため、次に会うときは姉に男ができているかもしれない、と常に不安だったのではないか。

「あなたの心が変わってくれたら なんてありえない」
*上で述べた通り片思いだと思っていたため、姉が自分のことを恋愛対象として好きになってくれたら……という願望を抱いている。しかし、姉弟という関係上、それはありえないことだ、とも考えている。

「想いは浮かんで消える」
*はみ出した恋を忘れるため、他の女性に目を向けて姉への想いを断ち切ろうとし、ある程度成功する。この歌詞の直後にBARで長髪の女性と会うシーンに移るため、そのように考えることができる。、

「確かめて苦しむならば このままであなたの側にいて」
*この歌詞が歌われる部分で、BARで長髪の女性とデートしているシーンが描かれています。なので、ここの「あなた」は長髪の女性を指していると考えられます。自分の姉への恋心に正直に向き合い自覚することは苦しみを伴うので、それを避けて長髪の女性と交際し、結婚するぐらいがいいのだろう、というカズイの心情を歌っていると見ています。

「笑い合い 肩を並べて この距離が幸せのミスリード」
*この歌詞に入ると途端に姉の隣に座っている場面に切り替わります。この部分は、姉弟として親しくする間柄が「幸せのミスリード」、すなわち幸せに見えて実は不幸や苦しみに直結するものだった、とカズイが考えていることが見て取れます。

「どこで間違えたのか 初めからだろう」
*姉に恋した時点からそれが間違いだった、ということでしょう。

「また会える呪いが胸を縛る」
*この直後に映るスーツ姿の仮面のカズイが結婚指輪をつけていることから、結婚直前もしくは結婚後の心情と思われます。姉以外の女性と交際するに至り、婚約(結婚)をしてもなお血縁であれば会えてしまうので、恋の呪縛から逃れられない、という意味でしょう。

「「またね」が「終わり」って聞こえた気がしたんだ」
*カズイの結婚指輪はこの歌詞が歌われる部分が初出です。結婚を報告したもしくは結婚式に招いた際、別れ際に「またね」と言われ、恋が実らないことをしみじみと悟った、ということではないでしょうか。

「あなたの心が変わってくれたら なんてありえない」
*完全な偏見と思い込みですが、ここは姉が結婚することを聞いた、もしくは姉の結婚式に招待された際の心情ではないでしょうか。前回の考察では、姉は倫理を踏み越えてカズイに告白するだけの馬力があり、一方でカズイはそうではなかった、ということを書きました。姉もカズイもそれぞれ別の相手と結婚するわけですが、結婚の順番としてはカズイが先で姉が後だったのではないか、と思っています。

「正しさを教えてよ 嘘に染まった想いは浮かんで消える」
*ここは一見何を言ってるか正確にわかりづらく、私もまだとらえきれていません。その上で解釈を述べると、「正しさを教えてよ」は姉への想いと長髪の女性(おそらく世間体のためや姉への想いを断ち切るために結婚した。ただし、それなりに愛情はありそう)のどちらを取るべきだったのか、どう振る舞うべきだったのかについて、誰かに正解を教えてほしかった、自分のとった行動が正しいかどうかわからない、ということだと考えています。
また、「嘘に染まった想いは浮かんで消える」は、長髪の女性との交際・結婚の過程で姉への想いを否定するような言動(直接姉への想いを明らかにしたとは思えないが、長髪の女性に対して「君が一番だ」みたいなことは言ってるだろうと推測できます。それは嘘で、姉への想いのほうが強いはずです)を重ねたことにより、姉への恋心を「嘘に染まった」と形容したのではないでしょうか。互いの結婚を通じて想いを再確認したものの、それがまた一時的に薄れた、ということでしょう。

「試したり触れてみたりも あなたには伝わらないだろうな」
*姉と弟の間柄だから、親愛を示す言動をしても真意は伝わらないだろう、という意味に聞こえます。

「はみ出した恋と言うでしょう 分かるから いつも通りでいいよ」
*仮にカズイがはっきりと言葉で告白した場合、姉弟の間柄で恋をすることははみ出した、道徳的でない恋だと姉に指摘されるだろう、と考えていたことがうかがえます。そのうえで、想いを打ち明けて非難され、関係がぎくしゃくするよりはこのまま姉弟として過ごす方がいい、とカズイは考えています。
ただ、現時点ではこう考えていますが、この歌詞の部分ではBARで奥さんと飲んでいる映像が流れています。上のような解釈をするなら姉を映すでしょうし、ここはもう少し考えたら記事を訂正する可能性があります。
この部分のMVで面白いのは、カズイにもたれかかる長髪の女性に対し、カズイが肩を抱こうとするも手が浮いているところです。「ホバーハンド」と呼ばれる状況で、主に女慣れしていない男性が女性の肩を抱こうとするも遠慮して手が浮いてしまうことを指します。カズイは男前でイケボですし服装も垢ぬけている(しいて言えばスラックスから靴下が見えちゃうのはどうなの?と思いますが)し、結婚までしておいて女慣れしていないというのは考えづらいです。よって、ここでカズイの手が浮いているのは、長髪の女性に対する想いが中途半端で、姉への愛情のほうが強いことを示唆しているのではないでしょうか。

「あれこれ思い出すことを 消せたらな」
*MVでは、ここで役者のカズイから促されて観客のカズイが近くの林檎に気づき、驚いて立ち上がります。要するに、結婚後忘れつつあった姉への想いを何かのきっかけで強く自覚してしまったのでしょう。

「今までの時間が傷を付けて 気持ちの秤は揺れることを選んだ」
*姉もカズイも想いを隠して生活することを選んだ、「秤」は世間体や倫理に傾いていたという状況でした。しかし、時間が経ち、苦しみ続けるにつれて、このまま気持ちを隠し続けるのは不幸だ、と判断し、想いを打ち明けたのではないでしょうか。ここで解釈が分かれるのは「どちらが先に告白したか」ということですが、これはまだ判断できないと思います。一見、次のシーンで口を動かしている姉が先に告白したようにも見えますし、またカズイが歌っていることからカズイが告白したと見ることもできます。ここは今後新たな情報がないと判断できません。

「隠し続けるのを不幸と呼ぶなら 言葉ひとつもあなたには届かない」
*このシーンでは姉の口が動いており、対してカズイは無言です。「隠し続けるのを不幸」と呼んだのは姉で、それに対してカズイは隠し続けたい、このままでいたい、と答えた(もしくは言葉にせず態度だけでそう示した)のではないでしょうか。
言葉ひとつもあなたには届かない、というのは意見が食い違ってしまい、平行線になった様子を示していると考えられます。

「会える呪いが胸を縛る」
*姉の告白を断ったあとも、たとえば親の誕生日や正月の帰省など会う機会はあるわけで、そのたびに告白を受け入れたかった、という思いに胸を締め付けられていたのでしょう。カズイは基本的に大人としての振る舞いを意識しているので、そういった行事を欠席してまで姉と縁を切ろうとはできなかったのだと思います。このあたりにもカズイの中途半端さがあらわれています。

「「またね」が「終わり」って聞こえた気がしたんだ」
*告白を断った後も何度か会っている姉とカズイですが、別れのたびに姉が恋心を自ら断ち切る(念のために書いておくと自殺という意味ではなく、文字通り恋を終わらせるということです)のではないか、とカズイは不安を感じていたのでしょう。カズイ自身は告白を断りましたが、両想いであることに何らかの幸せを見出していたと考えることもできます。

「あなたの心が変わってくれたら なんてありえない」
*何度も繰り返された歌詞ですが、ここでは意味が大きく変わっています。姉は想いを隠すことが不幸で、要するにカズイと結ばれたいと考えています。一方でカズイはそう考えておらず、互いの家庭や大人としての立ち振る舞いのために、姉が考えを変えて想いを隠すことに同意してくれたらいいのに、と願っているのでしょう。同時に、長い付き合いのある人間なので姉がそういう心変わりをしないと理解もしています。

「正しさを教えてよ 嘘に染まった想いは 浮かんで消える」
*ここも繰り返された歌詞ですが、この部分では両想いが判明した姉とどう付き合っていくべきか葛藤しており、姉への想いが高まっては薄れる、という波があったことを示唆していると見ています。

「きっとずっと変わらないまま」
*姉の想いを断ったが、姉弟として変わらないまま付き合っていくということ。

「「お前バカだな」って笑い合って」
*カズイの理想としては、互いに「肉親に恋するなんてバカだよな」と笑い合えるような関係性が理想だったのではないか。

「知らないほうがいいことだらけ 臆病なだけ」
*ただし、互いの想いを知ったことで新たな苦しみも生まれたわかえで、そういう意味では相手の想いを知りたくなかった。また、この部分の知らないことがいいこと「だらけ」というのは、そもそも恋愛は知らないほうがいいとか、あるいは倫理や道徳、「大人」としての振る舞いなど知らないほうがよかった、と言っているのかもしれない。

「ずっと前に諦めたこと」
*カズイは片思いだと思っていたのでずっと前に恋をあきらめていた。

「今になってなんで声を上げるの」
*ここまで読んだ人には明らかだと思うが、ずっと隠していたのになぜ今になって告白したのか、という嘆き。

「知らないほうがいいことだらけ 臆病なだけ」
*ここも繰り返された歌詞だが上と同じ意味だと思います。ただし、MVではここの部分で姉が飛び降りているため、上がカズイの自嘲とするならこちらの「臆病なだけ」は姉からカズイへの糾弾と見ることもできます。カズイがそれほど臆病だとは思ってなかった、知りたくなかった、みたいな気持ちがあったのではないか。しかし、あくまでこの歌を歌っているのはカズイなので、姉の感情を歌うのか……? という疑問はあります。

「確かめて苦しむならば このままであなたの側にいて」
*この部分は二通りの見方ができます。第一に、告白したことでこじれた関係を後悔し、昔のようにいるべきだった、と悔いを語っているという見方。次に、姉の飛び降り自殺に居合わせたか連絡を受けてかけつけたかして、姉が死んだことを確かめて苦しむくらいなら、その死を確かめずにいたい、という想いを語っているという見方です。
ただし、次の歌詞との接続を考えると前者が濃厚かな、と思います。

「笑い合い 肩を並べて この距離が幸せのミスリード」
*姉の死体と少しだけ距離を取って、昔はこの距離で笑い合い肩を並べてしまったことが幸せだと思っていたが、そうではなかったんだなあ、と悔やんでいる様子だと思われます。

おまけ

Twitter始めました。@y0shin0_k です。記事にするまでもない思い付きや、カズイの声やシドウの容姿ってエロいよねとか、そういう思い付きを垂れ流します。

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