せやろがいおじさん

痛快!「せやろがいおじさん」の言葉が心に響く

最近、Twitterでよく目にする「せやろがいおじさん」の動画。見たことがない方は、まずは一度見てほしいです。

沖縄の海をバックに、時事ネタなどについて、思いの丈をぶちまけるYou Tubeの2分強の動画ですが、非常に痛快!一度見ると病みつきになってしまいます。

「せやろがいおじさん」とは…

「せやろがいおじさん」は、沖縄の芸能事務所オリジンコーポレーション所属のお笑い芸人「リップサービス」の榎森耕助(えもり・こうすけ)さんが生み出したキャラクター。

時事ネタの風刺というのは「芸」として昔からよくあるように思います。
毒舌風にぶった切ったり、ちょっと斜めから皮肉ったり…取っつきやすいテーマだけに、ウィットが求められ、ありきたりな中身だと面白くありません。
そんな中、「せやろがいおじさん」が心をつかんで離さないのはなぜなのか、考察してみました。

「正論」一辺倒ではなく、相手を配慮

せやろがいおじさんが語っている内容は、まさしくその通り!と思える「正論」が多く、それをカメラに向かって直球でぶつけています。
いわゆる「キレ芸」に近い部分もあるのですが、決して押し付けがましくもないし、聞いていて嫌な印象を受けません。

ここで思い浮かぶのが、詩人・吉野弘さんの「祝婚歌」の一説

正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい

そう、正論は、相手に反論を許さずに追い詰めるもので、時にはナイフのように人を傷つけてしまうことが往々にしてあります。
せやろがいおじさんは、一見粗暴にも見えますが、このことを実によく理解していて、自分の意見を一方的に押し付けるのではなく、批判する相手への配慮もしっかりしているのです。

例えば、この「安室ちゃんの家族や姪っ子のとこまで押しかけるマスコミについて思うこと」では…

「そういうと、有名人だから仕方ないっしょ~。的なことを言う人一定数現れるけど」
「確かに他の局よりいい画撮りたい、独占映像入手したいって気持ちは分かる!」
と、まず一定の理解を示した上で、
「有名税的なところ踏まえまくってる安室ちゃんが言うくらいやから相当なもんなんやろ!」
「でもさすがに姪っ子ちゃんを待ち伏せするのはやりすぎや!」
とバッサリ。一方的に相手を批判するだけではないので、よりすっと聞き手の心に入ってきます。

編集、カメラワークで「緩急」

そして、この「配慮」は、編集やカメラワークにも行き届いています。
とにかくテンポよくポンポンと言葉が飛び込んでくる編集ですが、実に緩急が計算されています。

このドアップから…

この、超ロングショットまでの落差!

なんと言っても、キメ台詞で効果的に使われるドローン映像、そして美しい沖縄の海は、せやろがいおじさん動画の代名詞ともなっています。
過激なことを言ってても憎めない「人柄」もありますが、おじさんが小さくて見えなくなるまでの超ロングに乗せられた叫びは、もはや人ではなく、「地球」からの叫びとすら感じられます(笑)

りゅうちぇるも涙…根底にある「愛」

「りゅうちぇるさんのタトゥーについてヤイヤイ言うてる人に言いたいこと」では、本人からも「泣いてしまいました」のリプライがありました。

また、「バスケ男子日本代表の不祥事について海に叫んだ」も「日本のバスケットボールが大好き」なおじさんとして「悔しいどぉ~!」という率直な思いをただただ述べつつ、「明けへん夜は無いんやで~」と締め。ちょっとじーんときてしまいました。

単に話題のネタを扱って面白いことを言ってやろう、といういやらしい思惑ではなく、全編を通じて、優しさや愛にあふれていることも、多くの人に届いている理由ではないかと思います。

今後も、せやろがいおじさんに注目です!

※Twitterで、コンテンツ論や書評、プロ論などをつぶやいています。よければフォローお願いします!


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