感情と手続きの話
緊急事態宣言なるものと、まん延防止等重点措置なるものが、今月末までになったようだ。
一方で、「行動制限の緩和は段階的に」「実証実験をこれから」「営業や酒類提供の時間を少し遅く」といった対応案が出てきた。
感情で言えば、「そのとおり」などとなるだろう。
西村大臣が時短要請に応じない店舗への酒類取引停止や金融機関からの働きかけ要請などを口にしたときも、同じ反応になっただろう。
それは「感染症を封じ込めるためにロックダウンでも何でもして、すぐに陽性数をゼロにしろ」という感情がもとになっていると思われる。
新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置は、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律(令和3年法律第5号:2月3日)で新設された。
なお、新型インフルエンザ等緊急事態措置は、平成24年の立法当時から存在していた。
行動制限の段階的緩和や実証実験には賛成の立場だ。
課題となっている病が流行りはじめた頃は、まん延防止等重点措置がなかったので手探りにも、何も公示していなくとも、「要請」を出せただろう。
しかし、今は、まん延防止等重点措置がある。
一斉に全ての事態が終了した公示をするのに、なぜ「要請」が続くのだろうか。
10月1日以降は、「要請」の根拠となるものがないのではないか。
手続きとして不思議だ。
酒類の取引停止や金融機関からの働きかけの何が問題かといえば、政府が経済活動に口を出しすぎるというところにある。
直接的に口を出す分には、特措法などの根拠があって、補償も求められるだろう。
ただ、間接的に行おうとするのは問題だ。
他方、「仮に取引をやめる事業者が居ても、別のところから卸してもらえば良いのだから」という見方もある。
これはこれで商売として正しいのだが、「酒類が取引できなくなること」が問題なのではない。
政府が間接的なのが問題である。
これと似たようなことは、他にもある。
レジ袋の有料化だ。
中には「法律の改正があったから」と考える人がいるだろう。
厳密には違う。
国会はパスしていない。
「法令の改正があったから」というのは正しい。
もっと言えば「省令の改正があったから」が正しい。
省令とは、法律や政令の規定(委任)に基づいて、各省(担当大臣)が定めるルールだ。
いわば、何かの法律や政令の内容を補足してセットになる命令である。
これの嬉しいところは、法律のように国会をパスしなくて良いから、機動的な運用ができる。
これは危ないのではなくて、国民生活・経済にとってプラスに働くとみて良いだろう。
ただ、これは有料にしなければ、最終的に罰則もある規定だ。
このような内容のものを省令1つで決めてしまって良いのか疑問である。
たしかに、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律第7条の4第1項で、主務大臣(担当大臣)が省令で基準を定めるとはなっている。
ただ、目標の設定(第1条)、消費者への確認・過剰包装の抑制(第2条第2項)、消費者が包装廃棄を抑制するための情報提供(第3条)、包装を合理化するための体制整備・取り組み(第4条)、包装の安全性等の配慮(第5条)、包装を合理化するための取り組みと効果の把握(第6条)、関係事業者との連携(第7条)のような規定の中に、消費者から見たら税金のようなお金をとる規定を置くのはどうなのか。
もし、有料化するのであれば、法律の改正で対応した方が良かったのではないか。
これも感情としては「プラごみ問題があるので」「まずは身近なレジ袋で喚起策を」があるのだろう。
感情は感情として良いのだが、手続きも伴ってほしい。
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