月夜
何かに呼ばれるように外へ出る
フードをかぶれば大して寒さは感じない
お気に入りの騒がしい音楽で耳を塞いで
少し空気はひんやりしていた
風の音、水の流れる音
小さい時大好きだった音たち
あえてそんなものを、かき消す
静寂を遮る騒音が心地良くて
暗闇の中を歩く自分から恐怖が消えるようだった
ぼんやりと照らす月に何度救われただろうな
変わらずにそこから照らすあの月
見上げれば何故か涙が溢れた
綺麗だな、そう思った
手を伸ばしても届かないあの月は
全てを知っているだろうか
あの日見た月と同じなのに
逃げて逃げて泣いて抗っても
何度も繰り返し追いかけてくるのは過去で
気を抜けば感情なんてなくなるから
俺は楽しい、楽しい、嬉しいんだ。
俺は
そう何度も言い聞かせて笑う日々
下がる口角を無理やり上げる癖のせいで
笑いたくなくても楽しかった
無理をしていたんだと気付いたのは
君のおかげなんだね
理解してほしいわけじゃない
ただ否定しないでほしいだけ
今笑っているから楽しいわけじゃないんだってこと
誰かに見抜いて欲しかったのかもしれない
1人が楽なのは気を使わせなくていいからだよ
怒ってるわけじゃない
イライラしてるわけじゃない
顔色を伺って言葉をかけないでいい
放っておいてそのままそこにいさせて
なくした感情を出せば冷たい人間だと
否定するんだろう
元々こうなんだと言ってもわからないだろうけど
俺は時々自分の事が死ぬほど嫌いだ
死ぬほど殺したいほど嫌いだ
でも俺は自分を愛している
俺が俺で良かったとさえ思う
過去の君が頑張ってくれたから今の俺がいる事
分かっているからこれから
また歩み出そう
ここからまた君と
嘘でもそれが間違いでも
否定せずに肯定してくれる人がいればなんて
ここにいるのに
俺の事何もかも否定して苦しめた犯人が
俺が君を否定してたんだ
肯定できない弱い自分が嫌いだったんだ