「魅力」とは「何を」表現すればいいか
「言語化スキル」の中でも特に重要だと考える、「魅力」を表現することについて次のようにまとめてみたいと思います。重要で難しいわりにちゃんと学ぶ機会がありません。
学校でも社会でもちゃんと学べる場がないのです。ところが、社会人になると突然、降って湧いたように表現を求められることになります。
自己PR、志望動機、自社製品の売り込み、顧客への提案(プレゼン)など。どれもが「魅力」を言わずして成立しないことばかりです。
これらは「慣れたら」できるでしょうか?。「ある程度」はできるようになるかもしれませんが、特徴や構造を学んだことがないのですから、なかなかブラッシュアップは簡単ではないと思います。だからこそ、これから言語化のサポートができればと思います。
そこで、「魅力」の特徴を分析することで、今後のサポートに繋げられたらと思います。少し長くなりますが、最後まで辛抱強くお付き合いいただければ幸いです。
内容は以下のとおりです。
①そもそもこれまで重要視されていたこと
これまで学校では「言語化」を学ぶことはありませんでした。今もありません。ただし、社会人になると、人によってはビジネスマナーの一環として研修などで言語化の一部を学ぶ機会がある人もいます。
ただ、その研修では、「どのように伝えるか」に焦点が当てられています。敬語表現の正しい使い方もここに含まれています。「内容」よりはいわゆる「伝え方」重視です。
確かに、話し手の表情や目線、間(ま)や抑揚、話す速度や声量、強弱等を目的や状況にあわせて変えることで、印象を良くしたり、聞きやすさをも
たらしたりすることが可能になります。
②「伝え方」の前に
「伝え方(自己演出)」自体はイメージ形成等にも影響することから重要なことです。一方で、言語化という点では、あくまでも表現の一部のことであり、聴き手にとって興味のある(もっと聴きたいと思う)内容が含まれていなければ、「伝え方」を工夫してもほとんど意味がありません。
つまり、「伝え方」の前に、状況に合わせてその場で「聴き手にとって興味ある内容」を言語化できないと、ビジネスではあまり意味がないと思うのです。
「聴き手」にとっての興味ある内容は、いろいろありますが、もっとも人の心を揺さぶるのが、「聴き手にとっての魅力」を表現することです。
今回「魅力」を取り上げた理由を少しはお分かりいただいたでしょうか。
学校教育では学ぶことができないにも関わらず、社会人になると突然求められるのです。しかも、ビジネス場面は、超限られた状況にあります。学校のようにゆっくり聞いてもらえる場はほとんどありませんし、何度もチャンスがあるものでもありません。
「魅力」を表現するために、自らのアウトプットをブラッシュアップする必要があることがご理解いただけるでしょうか。
③これからの時代に欠かせない「魅力」を表現するということ
「魅力」を表現することとは、そもそも何を表現することなのか考えてみたいと思います。
これまでの経験などから振り返って考えてみると、次の6点のいずれか、もしくはすべてを表現することが主な「魅力」になると考えます。
1.基本的な情報(事実)
2.他との比較
3.行動理念
4.変化の経緯
5.社会や世界に与える影響
6.そこに関わった人がどのように行動したか
1.の「基本的な情報」は事実ですから、この表現がないと始まりません。あとは、その事実に2.から6.で自分が感じる表現を加えながら、肉付けすることになります。
「他との比較」でどのように違うのか、その違いはどうすごいのかを明確にしつつ、どのような考えや想いで取り組んでいるのか、そのこだわりは誰のためか、誰にどう役立つことなのかを状況に応じて表現していくことになります。
さらに、どんな紆余曲折を経て今にたどり着き、結果として、社会や世界にどのような影響を与えているか、これからどうしようとしているかを表現したひとまとまりが「魅力」になると考えます。
つまり、2.から6.でその活動への「想い」や「情熱」、「社会や世界に与える影響」を表現することで、ペーパーに書かれた情報から「聴き手」が「映像化」できる、3次元の世界を表現することが「魅力」と言えます。
ですので、「話し手」にとってのどのような順番で、何を表現したら映像化しやすいかを考慮することが、「分かりやすさ」になると言えます。
④「魅力」の構成
「魅力」を表現するには、一般的に聴き手が映像化しやすいように上記の内容を構成することになります。
しかし、「何を」「どれくらい」表現するかは最終的に、「魅力」を表現する場の状況と聴き手がどのような人かによって「調整」が必要になります。
この「調整」こそが難しさを感じさせる要因とも言えます。聴き手は話し手とどのような情報を共有しているのか、あるいはしていないのか、どのようなことに関心があるか、さらに表現できる分量はどの程度が適切か。
そういった状況判断が必要になるのです。
⑤まとめ
「魅力」は、事実としての「基本的な情報」に「すごい」と感じることを肉付けしていくことだと言えます。
つまり、事実としての情報に、他と比較したことで浮き彫りになる違いや、数値や概要的な情報だけではわからない、「理念」や「想い」、「社会に与える影響」などを説明していくことが必要と言えます。しかも、単に情報の羅列ではなく、聴き手が映像化しやすいような説明を心掛けること。それには、聴き手が理解していく順番にあわせた説明が必要になります。説明に飛躍があると、何のことかわからないし、くどいと「長すぎる」ことになり、聞いてもらうことはできません。
「魅力」をいきいきと表現できる人は、このような調整を、時間に制約があるビジネスの場で瞬時に行っているのです。ですから敢えて表現しない内容もあれば、わざわざ丁寧に説明する内容もあるのです。さらにその説明内容は聴き手が「映像化」しやすい順序に調整しているのです。
このように大変なことを自分一人でブラッシュアップできるでしょうか?
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