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「人を動かす」言語化スキルとは③(進歩的傾聴)

ビジネスにおける「聴くスキル」には、分かち合う(同調する)ことを目的とした受容的傾聴とは別に、「進歩的傾聴」が必要だと考えます。聴きなれない表現ですが、ビジネスでは重要な聴き方です。要は、話し手の考え方に同調した上で、さらにその中に光り輝く原石のような良さを見つけるように聴くことです。
 つまり、話し手の話す企画や提案の良いところを支持して、それらの良いところや価値、意義に寄り添う聴き方です。加えて、企画や提案を生み出せるマインド(心のあり方)も支持するようにします。
 そこに「~するともっと良くなるのでは」というメッセージも伝えるようにすることで話し手の「現在の取り組み姿勢」、「現在をもたらすこれまでのマインド(心のあり方)」そして「未来に向けての応援、支持」を示すことが可能です。
 「上手に聴く」というのは、単に受身的行動として「聴いている」だけではなく、話し手のことを応援し、支持していることを示す行動も含まれます(また提案・提言したいと思わせる聴き方)。
 それには話し手の考え方の真意を把握し、その良さと意義を見出す必要があります。「どんなところが、どのように良いのか」「どのような点で意義があるのか」ということです。ことばを紡いでいきながら原石のような意義を言語化し見出していくのです。
 ビジネス場面ではどうしても経験と効率性を重視する傾向があります。そのため経験や知識がある人が「良し悪し」を判断しがちです。「良し悪し」を判断した上で聴くものだから、どうしても不十分な点にフォーカスした聴き方が多くなってしまい、そこに含まれる「良さ」が見過ごされることが多くあります。
 そうなると、話し手は発言したり、提案すること自体を避けてしまいます。
 ビジネスでは一人の提案や提言に100点満点を求める必要はありません。学校のテストとは違って、10点でも20点でもいいのです。その10点、20点に含まれる原石を見つけるような聴き方こそがビジネスで求められる「進歩的傾聴」というわけです。一人が10点でも10人いると100点満点になるという考え方です。
 そのためには、自分(聴き手)の経験だけで良し悪しを判断しない、前例だけをベースに評価しない、どのような良さと意義があるかを考えながら聴く姿勢が何よりも求められます。

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