半グレごっこ5
営業を初めてすぐに私は中国地方のX市の女性に社債1500万を購入させた。
この稼業には引きもあったりするもので、私の下の人間も含め、他の人達は全く成績が振るっていなかった。チンピラ2人はすぐに姿を消した。驚いたのは山本と北沢も上の人間の暴力団に型に嵌められて、ほとんど歩合のパーセンテージを吸い上げられ苦しい生活を強いられていた。時には顔を腫らして会社にやってきた。北沢の詐欺の技術には感心したが、裏の人間としては底辺だ。まともなのはただ居るだけのLEON社長だけで、何もしていないのに羽振りが良さそうだった。
このグループは大阪、東京、神奈川に詐欺の箱がある事が分かった。電話を掛ける掛け子の数は100人は超えていて規模はかなり大きく、神奈川の箱は立ち上げ当初で全く上がっていなかった。LEON社長はこのグループの幹部クラスで神奈川の箱を管理していた。私はLEON社長に可愛がられ目をかけてもらっていた。
うだつがあがらないと侮っていた中年の山本と北沢だったが、山本はこのグループのオーナーと何故か仲が良い様子だった。理由は同い歳だから。山本に年齢を聞くと31歳と答えた。私は「嘘つくんじゃねーよ。どう見ても50そこらだろ。」と心の中で思ったが、本当の様だ。
1500万を売り上げたにも関わらず私に入ってきた額は30万足らず。私が「何だこれ?どういう仕組みだと思い」山本と北沢に掛け合うと、
2人は「すまない。自分達の上に金を吸い上げられすぎて俺達も下から吸い上げないとやっていけない。佐藤君が来てから本当に助かっている。」
弱々しく2人にそう言われた私は交換条件を出す事にした。「山本さんオーナーに会わせてくれませんか?その機会を作ってくれればこの件は呑み込みます。」
こうして私は山本さんと一緒に歌舞伎町でオーナーと会う事になった。