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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)

第426回 北方に佳人有り(李延年)

北方有佳人 絶世而獨立 一顧傾人城 再顧傾人國 寧不知傾城與傾國 佳人難再得
(北方に佳人有り 絶世にして獨り立つ 一たび顧みれば人の城を傾け 再び顧みれば人の國を傾く なんぞ傾城と傾國を知らざらんや 佳人再びは得難し)
 
 漢の武帝(BC141~BC87)に仕えた宦官、李延年の「李延年歌」。または「絶世傾城の歌」とも呼ばれる。
 ― 北方に住む麗人は、この世の人とは思えないほど際立っている。流し目一つで町が傾き、流し目二つで国が傾く。町じゅう、国じゅうが夢中になる人を知らずにおられようか。これほどの美人は二度と現れない。 ―
 李延年は自分の妹をこのように歌い、武帝は彼女に会うと一目で気に入り、後宮に入れた。そうして妹は李夫人と呼ばれるようになる。李延年自身も武帝の寵愛を受けたが、李夫人が病気で夭折した後、誅殺された。李延年は音楽の天才としてもその名を後世に残した。


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