
七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句
第453回 人生とは何か(ウォルター・ローリー)
What is our life ? A play of passion,
Our mirth the music of division;
Our mothers’ wombs the tiring houses be.
Where we are dressed for this short comedy;
(人生とは何か? 激情に支配された一幕の芝居。
楽しみは途切れ途切れの音楽、母の子宮は楽屋のようなもの。
そこで我々は短い喜劇のために衣装を身にまとう)
エリザベス朝の廷臣、サー・ウォルター・ローリー(Sir Walter Raleigh, 1554~1618)の「人生とは何か( What Is Our Life ?)」から。一時栄光をほしいままにしたローリーは、一転して反逆者の烙印を捺され処刑される。過去の栄華を振り返り、人生の空しさを語りかける。
ローリーはイングランド南西端のデヴォンで生まれた。父はウェールズ出身のジェントリー、母はフランス系だった。10代から軍隊に入り、ユグノー戦争やアイルランドの反乱鎮圧で軍功を上げた。それが認められ、エリザベス1世の寵臣となる。
アメリカ大陸を探検し、バージニアに英国初の植民地を築き、その後の新大陸進出への道筋をつける。また、スペインとの戦争でも戦果を挙げ、莫大な戦利品をもたらした。
1603年、エリザベス1世が亡くなり、ジェームズ1世が即位すると、内乱罪の疑いで逮捕、投獄される。1616年に解放され、南米探検隊の指揮を執る。そのときスペインの植民地で略奪したことにスペインが抗議し、ローリーの死刑実行を求めてきた。
そして非公開裁判で大法官のフランシス・ベーコンが死刑執行の判決を下し、ホワイトホール宮殿で斬首刑に処せられた。