![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/170418355/rectangle_large_type_2_de407d9d4c9e438d6bc10cfa14cfda12.jpeg?width=1200)
七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句
第446回 死よ、驕るなかれ(ジョン・ダン)
Death be not proud, though some have called thee
Mighty and dreadful, for thou art not soe,
For, those whom thou think’st thou dost overthrow,
Die not, poor death, nor yet thou canst thou kill mee.
(死よ、驕るなかれ。お前は強く恐ろしいと誰かが言ったかも知れないが、実際は違う。お前が葬ったと思っている人は、実は死んでいない。可哀そうに、お前は私を殺すことはできないのだ)
英国の詩人、ジョン・ダン(John Donne, 1572~1631)が最晩年に書いた「聖なるソネット集(Holy Sonnets)第10番」の第1連。ダンは、この世の生を終えた者は天国に送られ永遠に生きる、という強い信仰を持っていた。
ダンはロンドンでカトリック教徒の両親のもとに生まれた。父はウェールズ出身で、金物屋の管理人をしていた。母はトマス・モアの妹の孫だった。11歳でオックスフォード大学に入り、3年後ケンブリッジ大学に移った。しかし、卒業の際に必要な〝国王至上の誓い(Oath of Supremacy)〟を拒否したため、学位を取得できなかった。そこで、ロンドンの法学院で学び、弁護士の資格をとった。
詩作は若いときから始め、最初は社交界を風刺する詩が多かった。エロチックな恋愛詩も書いたが出版しなかった。妻のアンを亡くした頃から陰鬱で敬虔な宗教詩に向かっていく。