七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)
第421回 魔の沼(ジョルジュ・サンド)
Son but devrait être de faire aimer les objets de sa solicitude, et au besoin, je ne lui ferais pas un reproche de les embellir un peu. L’art n’est pas une étude de la réalité positive; c’est une recherche de la vérité idéale.
(芸術家は自分が執着するものが愛されることを目指すべきだ。そして必要であれば、それらを多少美化しても非難しない。芸術は実証的な現実の研究ではなく、理想的な真実の探求なのだ)
男装の女流作家、ジョルジュ・サンド(George Sand, 本名はオーロール・デュパン、1804~1876)の『魔の沼(La Mare au diable)』から。この田園小説の冒頭の章で、作者が理想主義的立場から文学創作の理念を表明する。
サンドは軍人貴族の父と庶民の母との間にパリで生まれた。10代で男爵と結婚し2子をもうけたが、ほどなく離婚する。男装して社交界に出入りし、ミュッセ、リスト、ショパンらと恋愛関係を持った。
1831年にジュール・サンドとの合作で処女作を書いた。これ以降、〝サンド〟のペン・ネームを使うようになる。次々と発表した恋愛小説のなかで、女性への偏見や差別的な結婚制度を批判した。政治面では共和主義を主張し、マルクス、バクーニンら活動家と交流した。1948年の2月革命では共和制樹立のために奔走する。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?