七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)
第418回 セレナード(レルシュタープ)
Sie veratehn des Busens Sehnen,
Kennen Liebesschmerz,
Rühren mit den Silbertönen
Jedes weiche Herz.
(あの小鳥は胸の憧れを知り、愛の悩みをわきまえていて、
銀の調べで感じやすい心をすべて揺り動かしてしまう)
ドイツの詩人、レルシュタープ(Ludwig Rellstab, 1799~1860)の「セレナード(Ständchen)」の1連。シューベルトの名曲として有名。セレナードは、男性が思いを寄せる女性の窓辺で夕暮れ時に歌で愛をうったえる音楽で、〝小夜曲〟とも訳される。
レルシュタープはベルリンの生まれ。音楽出版業を営む父は、作曲家でもあった。レルシュタープも長じてピアニストになり、音楽雑誌も創刊した。そして音楽評論家として発信力を高めていく。
レルシュタープの詩は音楽との親和性が高く、多くの作曲家に採り入れられた。シューベルトの最後の歌曲集『白鳥の歌』のうち掲出の「セレナード」を含む7曲がレルシュタープの詩から成る。また、レルシュタープはベートーベンのピアノソナタ第14番作品27-2に「月光」の愛称を付けたことでも知られている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?