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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)
第429回 孤独(ラマルティーヌ)
Fleuves, rochers, forêts, solitudes si chères,
Un seul être vous manqué, et tout est dépeuplé.
(川よ、岩よ、森よ、懐かしい孤独の場所よ。
君だけがいなくて、すべては寂寥のなかに)
フランスの詩人、ラマルティーヌ(Alphonse de Lamrtine, 1790~1869)の「孤独(L’Isolement)」から。著名な物理学者の妻ジュリー・シャルルとの不倫の恋は彼女の病死であっけなく終わった。この詩は、夫人への哀惜の思いをこめてうたわれる。
この詩を収録する『瞑想詩集』がジュリーの死から3年後に発表された。新鮮な抒情性を湛えながら真摯な苦悩を率直的に吐露したこの詩集は、人々の心に鮮烈な感動を与えた。そしてロマン主義詩の最初の傑作として文学史上長く記憶されることになる。
以後ラマルティーヌは抒情詩人として次々と作品を発表するが、一方で政治家としての活動を続けた。1830年の7月革命から1852年の第2帝政までの間は政府の重鎮として華々しい活躍ぶりを示した。
ブルゴーニュ地方の博愛深い敬虔な家庭で育ったラマルティーヌは生涯にわたり夢想的な理想主義者であった。