#7 「飲む口」が変わる、コラボビール醸造
仕事して、ひとっ風呂浴び、ビールを1杯ひっかける。
そんな家路につくまでの幸せな一連の流れが日常になったなら。スーパー銭湯ならぬ、ハイパー銭湯・BathHaus があなたのささやかな夢を叶えます。
こんなコンセプトのもと、2018年11月代々木上原にコワーキングスペース・銭湯・クラフトビールバーが1つになった〔ハイパー銭湯 • BathHaus〕をオープンします。オープンに先立ち、このマガジンでBathHausができあがるまでの過程やコンセプトなどを綴っていきます。
#7 アンドビールとBathHausのコラボビール造り!
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10月9日朝、本日の現場である高円寺に降り立った。
アンドビールとBathHausのコラボビールであるHinoki Bitter を仕込むのだ。ビターエールをベースに、ヒノキの香りがたっぷりと薫るビール。まさに檜風呂に浸かっているかのような飲み心地を目指して、ヒノキを削るべく鉋を片手に
11月下旬OPENに合わせるためには、ビールを約1ヶ月前に仕込む必要がある。糖化 → 煮沸 → 発酵 → 熟成 という4段階を経て、我々は美味しいクラフトビールを味わうことができるのだ。
ヒノキは言った、 「そう簡単には削らしまへんで」
アンドビールに到着すると、既に糖化段階まで進めてくれていた。麦芽を煮出して抽出された麦汁を味見させてもらう。
「めっちゃ甘い〜〜〜!!これは糖分ですわ…」
ということしか素人のわたしには分からなかったが、職人たちによると良い感じらしい。
そして糖化中の時間を利用して、Hinoki Bitterの核となるヒノキを削る。ゆりこ(アンドビール女将)とわたしは、それぞれMy鉋を購入して臨んだのだが、これが全くもって削れない。スッスッと鰹節を削るように滑らかに削れる予定だったのだが、鰹節1パック分すらも削れない。
それもそのはず、鉋を使うには 作業台が特に大事 らしい。対象を固定するべく、ドアの桟を利用してみたり、アスファルトの地面に場所を移してみたり、近くにいたアパートの管理人さんに教えを請いたりして、ようやく削れ始めたのも束の間、次は刃がダメになったのか全く削れなくなってしまった。
鍋がいっぱいになるくらい削りたい…
そんなこんなで1時間が過ぎ、「もうヒノキを投入するまで時間がない!」ということで電動ノコギリでチップにすることに。電鋸まで扱えてしまうゆりこは一体何者なのか…。(ノコギリの様子は必死すぎて写真がなかった)
木屑まみれに...😂
グツグツと煮えたぎる麦汁へ
糖化を終えてできた麦汁は、ポンプで煮沸釜に移してさらに90分間煮込む。煮沸の過程でホップとヒノキを投入するのだが、そのタイミングによって味や香りに変化がつくらしい。
ゆりこに指示されるがままにホップ、そしてヒノキと時間を置いて順に入れさせてもらった。大きなコンロの上に設置された煮沸窯はわたしの身長よりも高いので、脚立を利用する。グツグツと煮えたぎる麦汁は、少しこわい。
ネットに入れたヒノキを沈めていかねばならないのだが、大きな釜にたっぷり入った熱々の麦汁の中に浮き上がろうとするヒノキを沈めていくのは、思った以上に力が必要だった。(当然使い物にならなかったので、すぐにプロに交代していただきました)
煮沸を終えた後は、熱麦汁を手早くかき混ぜてホップ以外を発酵タンクへ移動。発酵には1週間ほどかかるため、本日の仕込みは一旦ここまでとなる。
最後に、醸造に利用した道具たちを綺麗に洗浄して次回の仕込みに備える。
チューブの小さなガラス部分から見えるのが熱麦汁の色
この段階で仕上がりのアルコール度数がほぼ確定する
ビール造りは熱い闘いだった
大学生の頃に何度か大手ビール会社の工場見学に行ったことはあったものの、自家醸造の工程を間近で見て学ぶのとでは理解度が全く違う。1種類のビールを仕込むまでの時間を実際に過ごし、ビール職人の仕事を目に焼き付けていると、そのあまりの力仕事っぷりに感嘆の声を洩らすことしかできなかった。ビール醸造とは、想像を絶するほどの体力を要する世界だ。
これまでも造り手の想いが込もったクラフトビールをおいしく味わってはいたものの、この闘いを目撃してしまうと心持ちが変わってしまった。
もう、ビールを飲む口が変わってしまった。
今日からはビールを飲む前に感謝の気持ちを唱えたい。
ゆりこ、すごいわ。ありがとう、アンドビール。
クラフトビールは美味しい。
*Hinoki Bitterの試作品として醸造されたファーストバッチはアンドビールでお試しいただけます(10月10日現在, なくなり次第終了)