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映画メモ 『アメリ』

アメリを観た

脚本の名著「SAVE THE CATの法則」でとりあげられたジャンル10選をひととおり観る取り組みも佳境に入り、noteに記録している中では「バカの勝利」を残すのみとなった。本で紹介されてる中でAmazonプライムとNetflixで見れるのが「キューティー・ブロンド」だけだったがこちらはnoteを始める前に既に視聴済み。他にないかググってみたところ「アメリ」がバカの勝利として紹介されている記事を見かけたので観てみた。2001年、ジャン=ピエール・ジュネ監督の作品。

ストーリー分析

主人公はどう変化したか

主人公のアメリは小さい頃に心臓病と勘違いされ学校に行かず親から教育を受けた箱入り娘。友達は居ない、恋人もいない、それでも大人になりカフェでそつなく働く日々を送っていた。ある日自分の住む部屋の壁の中で昔の住人の宝箱を見つけ、持ち主を見つけ出したことで他人を幸せにする喜びに目覚めるアメリ。しかしアメリが一目惚れした青年には中々近づけずにいた。アメリは自分の気持ちを表現するのに直接言葉を交わすことを避けてしまう。それが卑怯だと同じアパートに住む画家から指摘され、カフェで働く同僚の後押しもあり、最後は青年と直接会うチャンスを逃さず2人は結ばれる。

ジャンル分析

この映画は「バカの勝利」ではなく「バディとの友情」にあたると思う。このストーリーは自分の幸せに無頓着だった主人公が周りの人たちを幸せにする喜びを知り、思いを寄せる青年に不器用ながらアプローチし、自分の殻を破った時に2人が結ばれ幸せを手にするラブコメだ。妄想癖のあるちょっとかわった女と、収集癖のあるちょっとかわった男が互いに興味を持ち、周囲の後押しもあって最後は結ばれる。

Goodだと感じだこと

構図

アメリがとにかく魅力的に撮られている。カメラワークに関する本「filmmaker`s eye」でアメリが取り上げられていて、ミディアムクローズアップ(肩・胸から頭まで)がアメリの要所で繰り返し使われていると書かれている。ロングショット、ミディアムショット、クローズアップと組み合わせてミディアムクローズアップが入るとその時の表情や動作で特別な意味が出るとのこと。要所でアメリの心情がカメラワークの力もあって印象に残ったのだと思う。

引きからグッと寄るカメラワーク

被写体を真ん中に置いてぐっと中心に向かって寄っていくカメラワークが印象に残った。最初アメリの父と母が登場する時はかなり大袈裟に使われていたが、それ以外にもちょこちょこあったと思う。ダイナミックになって飽きないのが良いのかな?と思った。

最後に

不完全な主人公が「特別な他者」の存在で変化するストーリーが「バディとの友情」ジャンルだ。以前見たのはウェインズ・ワールドだったがアメリのようなラブコメもこのジャンルにあたる。一見全く違う作品だが、主人公と主人公の変化のきっかけとなる存在、2人が覚悟を決めることによって不完全さの穴を埋めるという点で共通している。そこがこのジャンルの本質の一つなのだと思う。


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