映画メモ 『ディープ・インパクト』
ディープ・インパクトを観た
脚本の名著「SAVE THE CATの法則」で示されたジャンル10選を観てみようと毎日映画を観ている。今回観たのはディープ・インパクト。ジャンルは「難題に直面した平凡なやつ」。1998年、ミミ・レガー監督の作品。
ストーリー分析
主人公はどう変化したか
「難題に直面した平凡なやつ」は主人公が突然どうしようもなく困難な状況に巻き込まれる。ディープ・インパクトでは日々マスコミで仕事に打ち込んでいる普通の女性が主人公。父親とうまくいっていなかったが、1年後に地球に彗星が衝突することを知り、最後は父親と地球の最後をともに見届ける。
あらすじ(本筋)
政府高官の急な辞任の裏に女性スキャンダルがあると嗅ぎつけた主人公だったが、女性問題だと思っていたスキャンダルが実は地球に彗星が衝突することだったと知る。政府高官は逃れられない死を予感し、仕事よりも家族との時間を選んだのだった。彗星を核爆弾で爆破する作戦を8人の宇宙飛行士が実行するが、彗星が大小2つに分裂するのみで作成は失敗してしまった。これを受けアメリカでは選ばれた100万人を地下都市に収容するノアの方舟計画を発動。50代以上の一般人は対象外となることが発表される。ニュースキャスターとなっていた主人公は地下都市にいけることとなったが、両親は対象外となってしまった。主人公の両親は離婚しており、母は寂しい日々を送っていたなか父は若い女性と再婚し、主人公は父とうまくいっていなかった。彗星の衝突が近づくにつれて治安は悪化し、選ばれた人とそうでない人の分断が進んでいく。主人公の母は自殺してしまい、主人公は悲しみに打ちひしがれる。父は主人公に幼い頃の家族の思い出を語るが主人公はやはり父を拒絶。しかしいよいよ地下都市に向かうヘリに乗ろうという時、主人公はヘリに乗らず父親が住む海沿いの家へ向かう。父と再開した主人公は幼い頃の思い出を覚えていたことを父に語り、最後の瞬間を父親に寄り添って迎えた。
あらすじ(サブ)
主人公の軸とは別で彗星を発見した少年とその彼女のストーリーが語られる。少年は地下都市に行くことになったが彼女は選ばれなかった。しかし結婚すれば地下都市にいけることがわかり、2人は結婚する。地下都市に向かうバスに乗り込む瞬間、彼女の両親はバスに乗れないことがわかり彼女はバスに乗らないことを選ぶ。2人は離れ離れになってしまう。少年は地下都市に到着しバスから降りるが、自分の家族に彼女の元に行くことを告げて引き返す。小さい彗星が地球に衝突し大津波が発生する中、2人はバイクで津波がこないところまで懸命に逃げる。大きい方の彗星がぶつかれば終わりというところで、宇宙飛行士たちは宇宙船ごと核を彗星にぶつけることで彗星の爆破に成功する。
Goodだと感じだこと
テーマのわかりやすさ
逃れられない死を自覚したとき、何を大切に生きていくかというテーマが最初の政府高官の「家族との時間を過ごしたい」で示される。物語は主人公、少年、宇宙飛行士の3軸で進んでいくがそれぞれが自分の選択をする。共通するのは家族や恋人など自分以外の大切な人と寄り添ったり、守ったり、ともに生きようとあがいたりする。
少年少女のサブプロット
主人公と宇宙飛行士のストーリーは年齢層高めだった一方で少年少女のストーリーはわかりやすく純愛で映画に華を添えていたと思う。
最後に
普通の人が主人公であることで観客は自分にも起こるかもしれないと共感しやすく、それと対比される難題は困難であればあるほどよいという。彗星が降ってくるというどうしようもない状況が本作の困難であり、最終的に主人公は困難そのものを解決することはなくそれを受け入れて自分自身が抱えていた問題を解決した。困難そのものの解決はサブプロットの宇宙飛行士の役割になっていた。「難題に直面した平凡なやつ」の主人公は必ずしも難題を解決する必要はなく、あくまでストーリーは主人公自身の変化があれば成立するのだという気づきが得られてよかった。