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どこにも行かない

呪いをひとつずつといてゆく、ゆっくり良い大人になる。好きな映画を観にゆくこと、溶かしたゼラチンに手のひらをひたすこと、夜明け前のコールドブリュ、素敵な音楽を漂ってまた同じように帰ってくること。

ここじゃないどこかへ行きたいと思うことがなくなった。行きたいところはある。住めたらもっといいと思う。でもどこに行ってもそこが『ここ』になってしまい辛くて逃げ出したくなることはなくなった。

穿いているストッキングに空いた、小さな穴からのぞく肌をなでると、やたらやわらかく感じていいね

高校が私服校だったのだけど、朝着替えるときにストッキングに伝線がはいっていることに気づいたが新しいものを取りに行く時間がなかったため、
今日の登校中にどこかにひっかけて伝線入っちゃったんだこのストッキング、
って顔して過ごすことがあるよ今日もそう、
とふくらはぎの伝線を指しながらお昼休みに友達に話したら仲良しだった4人中3人は
「なんで言っちゃうんだよ。」
という反応だったが1人は
「わたしもそれよくやる。」と言ってくれたことを唐突に思い出す。
ものすごくどうでもいいがどうでもいい価値観をとにかく話したかったしそれ以上に聞くのも好きだった。
いまでも好きだろうと思う。
人生で一番ひとと話すのが楽しかった。
楽しいことは思い出してもよかろうよ。

自分のことを許すと本当に、そのままババロアになってしまう。
だから許さない。
膝の中の軟骨の形を見た
綺麗だった
これから、すり減ることもきっとあるだろう
でも歩けなくなるまで色んなところに行こう
それでも、いつでも傍にいる

天国の隅から地の果てから地獄の底まで大切なひとの味方だ。わたしを頼りにしてくれていい。

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