青い草に包まれた
小さな黒い石ころは
スイセンの匂いがして
それは私がずっと
欲しがっていた何かだった

鋭角な葉は
わたしの体をなでるだけで
横顔を飾る睫毛のかげに
あなたの瞳は守られて

本当は
傷つけられて
そのせいで死にたかった
いつか死ぬのなら
あなたに傷つけられて死にたかった
でもいまはポケットのなかに
スイセンの石ころがある
指でなぞる
わたしの体には血が流れている

隕石が落ちてきたら
落ちてきたらさ
雲の合間からきっと
あなたが見えるだろう
そしたらわたし
そのひかりになって
あなたを抱きしめにゆく
あたたかさだけの腕で
あなたを抱きしめにゆく

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