脈拍の届く範囲で
夕暮れ、両隣にひとがいないほど空いている電車で
窓から差し込んだ光を体で受け止める
そういう時間が人生には必要だ
猛スピードで進む車両
わたしは動けず
呼吸だけは確かで
ただ愚直に
生きてくことを知るんだ
目をあけて生きることを
胸にたまった水を
いますぐは取り除かなくていいことを
あまりにひとりぼっちで
ひとと話すとときどき
やはり申し訳なくなって
心のほぐれたやさしいひとになりたい
そのためにひとともっと関わらなくてはと
思うが、わたしは
孤独と親しくしているおかげで
生き延びられているとも思う
ゆるやかに絶望してゆく
どこにも辿り着かない道
水中みたいに足取りは重く
そのあいだも時間は流れる
自分のためを考えていたあらゆることを、
もう大丈夫だと何度言い聞かせても遠く、長く、眩しく、
目もあけていられないほど苦しくなるものを脱ぎ捨てて何度生まれ変わっても裸になるのは難しい
一番近かった星も嘘みたいに流れてしまうんだ、
どうすればいいのかなにもわからない