浅草の「へび」と青森の「むし」
先日、浅草を歩く機会があった。
たまたま浅草富士浅間神社で植木市が開催されており、所々にチラシが掲示されていた。
その中に、「へび」の文字があった。
浅間神社、富士山、または木花咲耶姫。
この辺りに蛇に纏わるエピソードがあったか? と同行の友人達と首を捻っていたが、調べると「麦藁蛇」なる厄除けの人形のことだという。
浅間神社でも、浅草と駒込のお社でだけ配っているという。
龍のお使いである蛇であり、水回りの厄を除けるという。
いや見覚えがあるぞこれ? と、なった。
地元は青森の西側、津軽地方と呼ばれる地域である。
そこには「虫送り」と呼ばれる行事がある。
藁で作った「むし」を引いて、囃子と一緒に練り歩くお祭りだ。
地域によっては、祭りの最後に河原に設置した巨大な「むし」に火をつける。
そこで引かれるモノは、名前こそ「むし」だが、どう見ても龍だ。
それでも幼少期、それに違和感を抱いたことはなかった。
親も「田んぼの稲に虫がつかないようにするのだ」といった説明をしていて、そうなのか、とそのまま飲み込んだ。
滅茶苦茶似とるやんけ。
と、友人達の前で一人テンションがあがっていた。
東京=青森間、ざっくり600km。
津軽平野に鎮座する岩木山は、「津軽富士」の名前でも呼ばれる。
江戸時代に浅草富士浅間神社の逸話が伝わったとしても。
共通の風景に、なにかしら似たものを感じた結果だとしても。
600km離れた場所に似た形代があるのは、とても面白いと感じた。
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