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不正解の討論


午前3時の月明かり。
満月の光は、昼間の太陽よりはるかに明るかった。視界の端に、極楽鳥の羽色を捉えながら、唯、私が私に課した今日中の業務を淡々とこなしていた。

卓上で感情の解体をする。
卓上で感情の解体を繰り返し、有りもしない正解を模索しては、不正解を、捨て去る作業。

生と死が対極にあると見るか、死は生の延長線上で起こるただ一つの出来事でしかないと見るか、を絶えず考えては、それをまた、ゴミ箱に投げ入れる。

紙とペンがあればいい、幻視と思想ともう会えないあの子達と、何もかもを書き殴る。

酩酊した孔雀の羽が、その背に、数多の目を持ってこちらを凝視しながら、視界をふいに横切っていく、完全遮光のカーテンの隙間から、早起きの鴉達が、私の出す正解ではない答えを、無言で待っているのが見える。

そうして、書いて捨ててを繰り返し、酩酊と錠剤で閉眼幻視を誤魔化ながら、真昼の夜を消費して、書き連ねた有りもしない正解達は、唯、意味のない文字という記号の羅列を作り、大脳皮質に焼き付くだけで、私自身にも、他の誰しもに対して救いのひとつもくれやしない。

非生産的作業で、あるのを知りながら、唯、時間と日々を食い潰し、理想など等に捨てたのに、平穏や安定を望み、縋って、それだけの為に怠惰に呼吸を繰り返している。

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