差異
所詮世界なんぞというものは、各々の脳内で完結しているものなのだ。私自身の思う、万物の価値も、生死の概念、個体としての意識まで、結果のところ私の脳内にしか存在し得ないのである。
そうして、あれだよ。あれ。
君の思う青色は、私の見る青色と本当に同一であるか。光源から放たれた光が反射し、脳で見る色は、寸分の違いなく君と共有できているか。
各々の目が、脳が見る色は、実際のところ全くもってぐちゃぐちゃで、君思う青は、私の思う橙であったりはしないか。
それが人間が人間である故に根底に根をはる、どうしようもなく埋まらない孤独感の所以ではないか、と、思うんだよ。此の所特に頻繁にね、視界がひび割れる頻度が、やたらめったら増えたせいなのかもしれないけれど。
でも、別にだからといって何が出来るわけでもない。もう何遍言ったか自分でもわからないし、もうくどいだろうが、この世の万物が幻視なのでは無いかとずっとずっと疑っているんだよ。いや、疑っていると言うよりは、最早確信すら持っている。この世という概念すら幻想であり、君はここに存在しているようで、存在していない。
そうして、私もここに在るようで、無いのだ。
視界の全ては無が映し出した幻想そのものなのだよ、そうしてその幻想すらまた、無で有るのだ。
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