わたしの救いはこれ以上が不確かであることだけ

「会いたいな」

この5文字に頭も心も悩まされることはきっとこの先、どれだけ生きたとしても今日が最大だったと思う。

あと30分わたしが起きていればあなたからの夜中の電話もとれた。
今日は出勤だったから、睡眠剤を飲んでコクリと寝ていた。最近、悪夢が多くて朝起きると疲れることも多かったけど今日は久しぶりに夢を見ずに朝まで過ごせた。

化粧をして時間を確認したときにLINEが5通。
あれ、誰かの返事返し忘れたかな、それかいつもの公式サイトだろうと思って開けると、あなたからの電話が4回と「会いたいな」の5文字のLINEだった。

見間違ったかなと思って何度か確かめているうちに涙がこぼれた。なんでなの、って。ずるいよ、って。
こんなことしたことないのに、どうして、って。
今年に入って連絡やめていたのに、普段あなたから連絡なんて絶対しないのに、3ヶ月わたしは思い出さないように頑張ってやっと慣れてきたのにどうして、って。

頭が混乱した。
よくわからなかった。
電話があったのは夜中の1時すぎだからきっと飲み会行ってそのあと酔っ払ってかけたのかなとか、仕事で疲れて誰かと話したかったのかなとか、プライベートで色々あって夜になって寂しくなったのかなとか、色々考えたけど、でも、分からなかった。

明るく振る舞って返信をしたらほぼ半日返ってこなかった。ありがとうの5文字だけ返信があった。なんなの、あなたは5文字でしか話せないの、って。

でもね、分かる。
あなたは自分のこと話すのあまり得意じゃないから、もうわたしも聞かない。聞かないけど、なにかあったはず。でもね、ずるいよ。あなたは家族があって、日常の幸せに包まれていて、何不自由ないはずなのにどうして寂しくなるのだろう。

年末にありがとうございましたとLINEして、勝手にわたしの中では一区切りをつけた。誘ってほしいというあなたは変なところで自信がなくて、なぜだかそれがわたしと似てるなあと思う。
わたしね、もう次に連絡するときは異動か昇格の時にって決めてたの。だからどんなことがあっても連絡しないつもりだった。

もう誰かに寄り掛かったり、甘えたり、そういうのは絶対にやめようと決めたから。そんなことしても救われるのはその一瞬だけで、自分の心が余計に孤独になるだけだと知ったから。
自分とずっと一緒なのは自分だけ。誰かが見てくれてなくても知ってくれなくてもここまでやってきた自分はちゃんと自分が知り尽くしてる。他人に見せる涙はきっと偽物、心から泣くときはいつも独りで。大丈夫、これからも孤独と生きていくから。強くなるためのレッスンを幾重もこなして。

会いたいのは、本当はわたしの方だ。
でも、あなたとわたしはどこまで進んでも交わることがないから、だからもうそんな簡単に会えないんだよ。
でもね、思い出してくれてありがとう。忘れないでいてくれてありがとう。
永遠、それはわたしとあなたの間には絶対に生まれない絶望みたいなものだけれど、人は永遠を願う時きっと自分の弱さを認めざるを得ないんだろう、そんなことを思った。

「恋の始まりも終わりも自分のせいにするのが大人の恋。
出会いたくなかったは、結婚しようよりも愛の深い言葉です。」
ホワイトカメリアで読んだこの言葉が刺さって離れない。
わたし、あなたと出会いたくなかった。

セクシーゾーンの夏のハイドレンジアをここ一週間なぜか聴き続けた。泣きメロとでもいうのか、聴いているだけ切ないメロディーラインが涙を誘う。
わたしはこの曲を聞くたびに今日のことを思い出す、きっと。
知らないでしょう、わたしが涙したことを。
泣きながらこのnoteを書いたことを。

会いたいな、たった5文字。
会えないな、そう返せたら良かったのに。
だってきっと、酔っ払って少し寂しくなって電話しただけだろうから。起きて日常に戻って、わたしのことなんてどうでもよかったはずだから。
バカじゃないからそのくらい分かるよ。だからもう簡単には会えないんだよ。

でもまたいつか、会いたいな。また、いつか。