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発達でこぼこのむすめを育てて ②/n 〜終わらない〜

腹にいる間、なかなか股を見せてくれなかったので、男女どちらかわからぬ悶々とした日々を送りました。
でも不思議と、腹の中の人はもしかしたら男の子なのではないか?とうっすらと感じていました。

それが、夫と検診に行った日、いつもと違う先生のエコーのときに「(男女)どっちですか?」と訊いたら、「女子!」ときっぱり言われ、力が抜けたというか。

というのも、twitter(今は𝕏)の友達に、「お腹の子の予定日はいつ?」と訊かれ、2/26と答えたら、「春の息吹が聞こえてくる頃だねぇ!」とロマンチックなことを言われ、そこからイブキという名前もいいな、なんて考え、
「イブキ」といったら「伊吹吾郎」!
「伊吹吾郎」といったら「格さん」!
と連想ゲームが始まり、腹の中の人のWebネームが「格さん」になっていたから。

今もWebネームとしてInstagramやtwitter(今は𝕏)で使っていますが、女児で「格さん」、渋すぎる。
今では本人も「格さん」というニックネームを気に入っていますが。

で、何が「〜終わらない〜」かというと、出産。
出産がとにかく終わらなかった。

そもそも、「ここで産みたい」と自分で調べて決めた病院に行ったとき、「検診にはある程度まで来てもいいけど、持病がある人は持病がある科とNICUのあるところで産んでね」と言われ、たぶんその頃ナーバスになっていたのか、「自分で選んだ病院で産むことすらできないんだ」、と泣きました。

で、精神科とNICUのある総合病院を“自分で決めて”、出産にこぎつけるわけなんですが、まぁ生まれない。
総合病院で、NICUもあるところだけれど、そこの産科は、自然分娩をすごく推していて、総合病院の中にある自然派助産院みたいな感じでした。

予定日が2/26で、2月の頭から毎晩前駆陣痛がきて、毎日そわそわしていたのに、本陣痛が来ない。
出産前には何回か、破水?!となってサラサラしたおりものだと診断されたり、陣痛がきた!と思ったら、隣で野良妊婦が先生に懇々と叱られているのを聞いていて、なんだかこちらがしょんぼりしてしまって陣痛が遠のいてしまったり。

そして、予定日を2日超過した2/28、22:00前にはついに本陣痛が!
そこから陣痛が10分間隔になるのは意外に早かったのだけれど、つらくてつらくて何度も病院に行って子宮口を確認されては、「まだ全然開いてない」で追い返され、ようやく入院できたのは、翌日3/1の15:00頃。
それでも子宮口は全然開いていなかった。

その頃のわたしは、もう目を開けるのもつらいくらい、身体中に力が入ってしまっていて、唸ることしかできなかった。
夫への「お茶がほしい」も、「おしりをテニスボールで押してくれ」も、全て唸るのみであった。

あまりの痛みに朦朧として「今」が何月何日何時何分なのかわからないので、わたしが畳の上でウンウン唸っているときに夫がすんやり居眠りしているのを見ると、腹が立ってグーで殴った。
産科中に響く大声で唸りながら。

そして、あまりにお産が進まないので、使われていなかった特別室の湯船に浸かることになり、湯船に浸かるといくらか陣痛は楽になったけれど、相変わらず大きな声で唸ることしかできなかった。

「ちょっとお風呂から出てみようか」と看護師さんに言われ、少しするとバシャッと破水。
陣痛がなければ感動して「これかぁ!」と膝を打っていたと思う。
バシャッ。


今になって、出産について事前に教えてほしかったこと、
1つ目は「産む前からめっちゃ血が出る」
2つ目は「お腹が張るってどういう状態か」
という2つ。
誰も教えてくれなかった。

赤子出てくる前からめちゃくちゃ血が出る。
何の血?生まれた後じゃないの?血。
そして、「お腹が張る」。
妊娠中から出産中までわからなかった。
たぶんわたしは「お腹が張る」を一生理解できないまま終える。

だからわたしはいよいよというときののいきみのときに、助産師さんや看護師さんに「お腹が張ってるときにいきむんだよ!」と言われても、どの状態がお腹が張っている状態なのか全くわからなかった。
だから、NST?(なんですか?あれは?)の波形をみて、今かな?と適当にいきんでみるのを繰り返していた。

そしていよいよ、「あともう1いきみで赤ちゃん出てくるよ!」と言われたそのとき、わたしの腹の中の人、そう、格さんは、わたしの股付近でしゃっくりを始めた。

「しゃっくり〜!!!!!!!!!!!!」と叫ぶわたし。
何らかの波形をみて、「ほんとだ」と呟く助産師さん。

いきめない。
股がヒクヒクしてて全然集中できない。

やがてしゃっくりが止まり、もうひといきみしたら、本当に人が出てきた。
そりゃそうだ、出産だから本当に人が出てくる。
でもわたしにとっての妊娠は「ちょっと体調悪くて腹が膨れていく軽い病気」だと思っていたので、本当に人が入っていたとは思えなかった。
だから純粋にびっくりしたし、感動より先に「やっと終わった…」という言葉が出た。

2015/3/2 15:45のことだった。
150cmのわたしには大きめの、50.5cm 3134gの女の子が誕生した。

わたしの母曰く、出産のときは「ドュルン!」と子が出てきたと言っていたが、わたしの場合は「ズリズリズリズリ〜!」だった。
これは後から考えるとおそらく産道に亀裂が入った音。
いや恐ろしい。

最終的に母子手帳に書かれた分娩時間は、「41時間50分」。
それより前から腹を痛め、家と病院を行ったり来たりしていたので、おそらくまるまる2日間は苦しんだことになると思う。
壮絶だったし、2月頭の前駆陣痛毎晩から始まり、最後まで格さんに振り回された出産だった。

のちに、産後メンタルで「もっとうまくやれたかもしれない」と、母子手帳の分娩時間を見ては泣いたことがある。

夫、グーで殴ってごめん。
何日かかってんの、そりゃ寝ますよ。
そんなわけで、紆余曲折ありながらも無事生まれてきた格さんなのでした。

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