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ラムネ

はじめに

こちらはnoteの企画である2000字のドラマの投稿用です。
ノンフィクションのようなフィクションです。

🔻本文は以下から🔻

「あぁ〜やっちゃった。」
朝早く部屋に響き渡る程大きな声で叫ぶ。
私の名前は百合。
今日は地元で大好きな人達が作ってくれた夏フェスへ行く日。
なのに寝坊をした。
大慌て準備してるとインターホンが鳴った。
「起きてるかー?行くぞ?」
インターホンの向こう側、一緒に行く友達である葵だ。
「待ってすぐ出るから!」
大慌てでドアを開けると、葵はゲラゲラと大爆笑した。
「なぁ百合。お前鏡みたか?」
全く失礼しちゃうやつだ。
さっきまでメイクしてたんだから見たわ。
もう一度玄関の姿見をみる。
「いやぁあああ」
とんでもない叫び声とまた大きな声で笑う葵。
そう。私はTシャツを前後ろ反対ではなく
表裏反対になったまま着てたのだ。
慌てて着直したが、玄関では泣き笑いしてる葵がいる。
「もう。行くよ。」
やっと出発。
私はワクワクが止まらなかった。
大好きな人達が自分の地元でフェスを開催してくれた。こんな奇跡を味わえるなんて!
ワクワクが止まらない私とは真逆でどこか冷静な葵。
それでもいつもより歩くペースが少し早くて、
(素直じゃないな)ってまた笑ってしまった。
会場付近に着くと、みんなここで楽しむ人達なんだ!と見知らぬ人とさえ全員とハイタッチしたくなる衝動。これなんて病気なんだろうか。
ふと隣をみると葵がキョロキョロしてる。
「どうした?忘れ物?」
「あ。友達も来てて。この辺りでいるから入る前に会おうって話してて。」
スマホを片手にキョロキョロしてる180cmの葵の姿がどこかおかしくて、笑っちゃいそうなのを必死で抑えて
「どのバンT着てる人〜?どれくらいの身長?」
なんて聞きながら、結局は二人してキョロキョロする羽目になった。
傍から見たらその光景は笑えただろう。
「葵〜!」
振り返ると葵と然程身長差のない、ザ・爽やかイケメンが手を振ってた。
「奏〜久しぶり!!ってかお前また身長伸びたか?」
何やら楽しそうに話してる二人をキョロキョロしながら、とにかくニコニコしてたら
「葵〜彼女居るなら早く言えよ!」
「違います」
「そんなんじゃないんだって」
なぜだか同時に発していた。
「お似合いだよ二人とも。じゃっ。また後でな!」
そう言って奏君は行ってしまった。
私と葵は幼なじみと言うか、もはや腐れ縁なのである。
高校は別だし、好きなバンドもそれぞれ違うけれど、
重なったバンドもあって一緒に行く事にした。
中に入ってからは笑えるほど
「また、後で!」
と解散しては、互いに
「どうだった??」
と聞きあう始末。
互いに楽しかったのがよくわかる。
ご飯もタイミングが合ったから、狙っていたフェス飯を食べれた。
「これ美味しいね」
「おかわりしたいー」
なんて言い合いながら、炎天下の中で食べたご飯が
とてつもなく美味しかった。
私も葵も奏君も一緒に観たバンドがあった。
それが主催してくれたバンド。
3人とも気持ちが高まっちゃって。
暗転した瞬間、私は泣いていた。
「早い」って隣で葵が言ったけど。
葵の声も緊張からか震えてた。
SEが鳴る。
さっきまで隣にいた奏君も、葵も私の視界から消えていた。
そして1音目が鳴る。
溢れでてくるものを止める事が出来なかった。
大好きな曲が一曲目にきたのだ。
目の前がぼやけて見えるが、しっかりとこの場で確かに彼等が音を奏でてくれているのだ。
嬉しくて堪らなくて。
気づいたら私はセキュリティのお兄さんにお姫様抱っこされていた。
自分でも記憶にないが、どうやらダイブしてしまっていたらしい。
(ありがとう。前まで送ってくれて。)
戻る最中、みんなハイタッチしてくれた。
その中に奏君がいて、引っ張って中に入れてくれた。
「ありがとう」
「百合ちゃんだっけ?飛ぶんだね。」ってキラッキラな笑顔で笑ってる。
「今回が初めてで。気づいたらセキュリティのお兄さんに抱っこされてた。」
「そうなんだ。怪我しないように残りも楽しもうね」
そう言ってまた奏君は私の視界から消えた。
アンコールもあって、本当に楽しくて泣いて笑って
顔もぐっちゃぐちゃになって終わった。
(葵に連絡しなくちゃ。)
そう思っていたら
「あっ百合ちゃん、葵あの辺りにいるって言ってたよ。」
「ありがとう」
そう言って走って行こうとしたら、手首を掴まれた。
「百合ちゃん、この辺り滑るから」
「あっ、ありがとう」
しばらく手首を掴まれたまま、葵がいる場所まで
感想を言いながら歩いた。
葵がいた。
けれどどこか機嫌が悪い。
「葵〜」
「私またやっちゃって、奏君に連れてきて貰った」
「帰るぞ。奏また学校でな」
「何怒ってんだよ。あぁまたな。百合ちゃんもまた〜」
「またね〜」
無言のまま真っ暗な坂道を下ってく。
体力の限界にきていたからか、どこか足元がふわふわしていた。
「ほら。こんな所で転けたらあそこまで行くから」
「いやいやそれはないって。」
「いいから」
幼なじみと押し合いながら、いつも何気なく通っていた坂道を笑いながら下った。
「ねぇ。これ夏っぽくない?」
途中で寄り道したコンビニで、お祭りの屋台か?
みたいなラインナップが勢揃いしていた。
「お疲れ様〜」って私と葵はラムネで乾杯。
楽しい時間の終わりが嫌なのと、まだ学校が始まって欲しくない気持ちで家に着くのは遅くなった。
「またね」「うん」
来年はラムネ片手に違う景色も楽しめたらいいな。
なんて思いながらドアを閉めた。

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xxЯunxx
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