
第2章 11節〜20節
■第11節:見えない加害
また一つ、物が壊れる音。
亮太の怒りが、私に向けられる瞬間。
主人は、そこにいるのにまるで何も見えないかのように、新聞をめくる音だけが虚しく響きます。
「やめなさい」の一言も、「そんなことをしてはいけない」も、何一つ、息子に向けられることはありません。

ここから先は
1,486字
/
1ファイル
¥ 100
温かな応援をありがとうございます。このnoteが誰かの心に寄り添える場所であり続けられますように…。頂いたチップは、これからも丁寧に言葉を紡いでいく励みとさせて頂きます。皆様の明日にそっと光が灯りますように。