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第2章 11節〜20節


■第11節:見えない加害


また一つ、物が壊れる音。
亮太の怒りが、私に向けられる瞬間。

主人は、そこにいるのにまるで何も見えないかのように、新聞をめくる音だけが虚しく響きます。

「やめなさい」の一言も、「そんなことをしてはいけない」も、何一つ、息子に向けられることはありません。

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