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第3章:小さな変化の見つけ方


▪️第1節:朝の風景

「お母さん、これ」
食器を片付けながら、亮太が差し出してきたのは、食パンの耳の部分。

いつもは自分で食べていたお気に入りの部分。
その小さな変化に、胸が熱くなります。

「私も、お手伝いする」
彩も立ち上がって、食器を運び始めました。

朝の台所に、三人の気配が優しく響きます。

「あ、これ」
食器を洗っていると、亮太が開けっ放しだった
食パンの袋を閉じて、戻してくれました。

いつもは無関心だったそんな些細なこと。
でも、今の亮太は時々、こんな風に気にかけてくれるように。

「宿題、ちょっとだけやってから音楽聴こうかな」

珍しく、自分から予定を言う亮太。

「うん、そうだね」
さりげなく相槌を打つ彩。

こんな何気ない朝の風景が、少しずつ、でも確実に
私たちの日常に溶け込んできています。

シンクに向かいながら、こぼれそうになる笑みを
そっと隠して。
この小さな幸せを大切に抱きしめる、
春の朝の光の中で。

▪️第2節:休日のリズム

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