手紙を入れた ガラスびんをもって
高校時代、人一倍、陽気で明るく
いつも笑顔で元気いっぱいの友人がいた。
彼女はいつもクラスの中心にいて
周りにいるクラスメートもつられて笑顔になってしまう
そんな楽しい雰囲気を纏った人。
わたしはどちらかというと
彼女に憧れ遠巻きに見ているような関係だったけれど
部活が高校3年間一緒だったことと
たまたま大阪にある同じ大学に進学したことで、
少しだけ彼女とは長く関わることになった。
大学時代になると
講義をさぼりまくっていた彼女。
あまりキャンパスでは見かけなくなり
それでも構内でばったり逢うと
「ウチに遊びにおいでよ~」と誘われ
そのまま彼女の家に泊まりに行ったりした。
大学4年になると、
彼女は留学してしまい
そのまま逢えなくなった。
社会人になってから
ふと思い出して彼女の携帯メールアドレスにメールをしてみたけれど
送信エラーになった。
まだミクシィとかFacebookはなくて
一度連絡先を失うと、
再会するのは難しい時代だった。
あるとき六本木のクラブで踊っていたら
ひときわ賑やかな集団がいて、
その中心になんと、彼女がいた。
ハグして再開を喜んで連絡先を尋ねたら
耳元で大声で携帯メールアドレスを言われ
「書いてよ~」って笑ったら
「大丈夫、願えば逢えるから!」と笑った彼女とは
それが最後になってしまった。
次に彼女の存在を目にしたのは数年後
高校の同級生でつくられたFacebookグループに
友人が投稿してくれた訃報だった。
乳がんだった。
最期まで彼女との時間を共にした友人曰く
彼女は最期の最期まで彼女らしく
笑顔でいたらしい。
旅がだいすきで
世界中を元気に飛び回っていた彼女の希望で
彼女のカケラの一部は
世界中にいる彼女の友人たちが
世界中の海にまいた。
遠いところに行った友達に手紙を書くなら、どんなことを伝えたいですか?
(ノートや手帳の端で構いません
ひとこと書き留めておきましょう)
瞳を閉じて
作詞:荒井由実
作曲:荒井由実
『MISSLIM』 1974/10/5