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苦い口紅 つけて来たのに

なぜだか遠距離恋愛が多かったわたしは
すきな人を訪ねて
限られた貴重な時間を一緒に過ごした後には
空港で見送ってもらうことが多かった。

遠く、ChicagoやNYCだとしても
12時間や13時間で
あっという間に成田についてしまう。

機内で泣き続けたとしても
12時間や13時間では
現実に戻るに充分な時間とは言えない。

つい半日前までは
そばにいてくれた彼の存在の不在を実感しながら
重いスーツケースと
それ以上に重い心と身体を引きずりながら
忙しい東京の街を
自分の家まで戻るのだ。
どの帰り道の辛いこと…


翻って
見送った彼のことを考えてみる。

空港でわたしが見えなくなるまで手を振り
元来た道をひとり、帰る。
数日を一緒に過ごした部屋は空っぽ。

ふたりで最後のコーヒーを飲んだマグカップは
テーブルに並んだまま。

そう考えると
見送る側も、簡単ではない。

見送る約束 寝すごした日には
古い滑走路に 夏草だけゆれてた

これまで振り返って、「見送る」と「見送られる」では
どちらが多い人生でしたか?
(ノートや手帳の端で構いません
ひとこと書き留めておきましょう)


LAUNDRY-GATEの想い出
作詞:松任谷由実
作曲:松任谷由実

『紅雀』 1978/3/5

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