毎日増える好きを渡したい
20代前半の恋はいつも自分から別れを切り出した。
「恋にあこがれてるんじゃん?」
あの頃なんでも人生相談に乗ってくれる上司に言われた。
馬鹿にしないで。いつだって本気で体当たりなのに、誰か恋にあこがれるもんか。
…なのに。
彼が好き!
彼のこういうところがダメ。
ここが嫌。
いやいや、そういう時彼はできないから。
わたしの恋愛はどんなに意識しても減点方式の両思いだった。
片思いの時はあんなに好きなのに。
全ての行為、表情が愛しくてたまらないのに。
さくらが咲いて、空に咲く花火を彼の肩に頭を乗せていっしょに見た。
黄色いじゅうたんのような足元を見ながら美味しいお酒を外で飲んで、キラキラ光る空と木々を見て寄り添って眠った。
あの時間はなんだったんだろう。
少しずつ、黒い影が近づいて、
ほぼ大体の彼はまた桜の季節が来るともう、愛しい気持ちが少なくなっていた。
原因は色々あるけど、わたしが恋人を満点から少しずつ減点してしまうことで起きる現象だったと今は思う。
このサイクルを抜け出すために何が必要なのかまだわからないけれど、
加点をしていける愛を育みたい。
今横にいる彼はよく笑う。
その笑顔は全世界の女の子を幸せにしてくれちゃうんじゃないかってくらい。(やめてほしい)
毎日好きなところが1つずつ重なっていく。
好きなところを見つけたのが嬉しくて、愛しくて、すぐに報告してる。
「好きってお互い言い過ぎてるね。」
そう言って彼は寂しそうに笑ったの。
まるで、この好きに終わりが見えているよう。
終わりたくない。
終わらせたくない。
そんな呪文を唱えながら、
わたしは今日も好きなところが見つかって、笑顔になる。
どうか今度こそ、末永く愛せますように。