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2021年 下半期 アルバム10選

noteの使い方を決めかねているうちに師走になってしまいました。
年間ベストアルバム(AOTY)は後日、総括として投稿しようと思っていますが、まずは今年後半にリリースされた作品縛りで10選です。

■10「Chew The Scenery」Oscar Lang

オスカー・ラングのデビュー作。アンタ生まれてくる時代を間違えたね、と言いたくなるような、華やかなりしのUKロックを想起させる一枚。
聴く人によって色々と類似性を覚えるバンドは挙がりそうですが、私はSupergrass、Blur、Mando Diaoを連想しました。もうちょいベッドルーム感ありますが、その界隈好きだった人には刺さると思います。
この人まだ20歳なんですよね。この手の枠だと、昨年リリースがあったDeclan Mackenna(ディクラン・マッケンナ)と共に非常に楽しみな若手です。
ドライブミュージックに最高。

■9「crepuscular」KIRINJI

KIRINJIから届いた早めのクリスマスプレゼント。KIRINJIを聴くと、聴覚と、音の解析を司る脳のどこかがチューンナップされるような感覚になります。耳が、脳が、喜んでいるような。
クオリティの高さは勿論本作も健在。それでいて日本人の我々に染み付いた言葉の載せ方や楽曲展開、聴き始め1周目から聴き倒した先までいつでも新しい楽しみを示してくれます。もちろんアルバム全体としての多様性もあり、前作も大変ハマったんですが、今回もしばらく楽しませてもらえそうです。

■8「Puppies Forever」BLACKSTARKIDS

カンザスより現れた新星。
アルバム通じて良い意味で平熱を保っていて、キャッチーなボーカルに対して全然盛り上げてこない展開とクールな演奏が新時代を感じさせてくれました。曲のバリエーションに乏しいのは伸び代とも言えるので、今後に期待です。
今年を振り返ると、外への発散が無かった分、内省的な作風の新譜が多かった印象を持っているんですが、そんな中、襟を崩して聴ける本作は貴重でした。

■7「How Long Do You Thunk IT’s Gonna Last?」Big Red Machine

ビッグ・レッド・マシーンの2nd。
細部まで作りこまれつつもそれが表に出すぎない、あくまで美しく優しい味付けに留まっているのが絶妙。曲も文句なしに良い。
特にフリート・フォクシーズが参加した#3「Phonix」と、テイラー・スウィフトとの#4「Birch」#5「Renegade」が圧倒的で、ヘビロテする要因になりました。全体としてみるとやや地味なんですが、こういう頭一つ二つ抜けた曲があるアルバムは強いです。

■6「Mercurial World」Magdalena Bay

LAよりマグダレーナ・ベイのデビュー作。
時空を超えて異世界を覗き見たようなサウンドスケープながら、インディー・ポップとしての地に足がついた力強さがあり、この手の新作の中では一番好みでした。
作品自体もセルフプロデュース、そしてLiveでも色々と楽器を持ち替えて対応するDIY精神にもグッと来ます。フロントのMica Tenenbaumのパフォーマンスもキャラクターが立っていて面白い。正直大きく羽ばたいていくイメージは沸かないんですが、カルト枠として楽しみな人達が増えました。

■5「Day / Night」Parcels

パーセルズの2nd。DayとNightの二枚組、大作です。この人達は最初聴いた時には誰かの企画盤かと思ったんですが、バンドでこの手の作風でこの完成度は凄い。卓越した演奏力。Daft Punkの「Random Access Memories」みたいな事を自分達でやってる訳なので、凄いことだと思います。
その文脈で言うと「Get Lucky」みたいな曲がこの作品にも数曲あって、一聴するとそれが目立ってしまうんですが、2枚目Nightの#6「Thefear」~#8「Reflex」のような深淵へと誘う楽曲が大きく魅力を挙げていると思います。

■4「True Love」Hovvdy

USのSSWデュオ、ホウディの4作目。
さらっと聴くと普通の良い曲で終わってしまいそうでもあるんですが、メロディアスで多幸感溢れる音の広がりが大変心地良く、リリース以降、別の作品に離れては戻ってきてしまう、私にとっての一つの帰る場所でした。
Hi-Fi過ぎない音像もジャケットの写真と相まって郷愁に駆られます。
歌を大事にしたフォーキーなインディポップ。今年前半のFlyteといい、最近はこういう作品に弱いです。

■3「Friends That Break Your Heart」James Blake

個人的には最高傑作。非常に好きなアーティストである一方で、自分にとって彼はちょっとアート志向が強すぎて、もう少し歌モノに寄せてくることを望んでいたんですが、今作はまさにそんな感じです。
そしてジェイムス・ブレイクたる雰囲気を崩していないのが良い。1stで衝撃だった音の少なさや割り切りのバランスは健在。マジでこの人のこの感覚は、全く理解が及ばないところにあるので、自分にとって唯一無二の存在です。
彼はライブも大変良いので、またどこかで来日してほしいですね。過ぎ去りし2019年、苗場でのパフォーマンスの感動が蘇ります。と同時に、その記憶と紐づいて、その後停滞が余儀なくされた洋楽フェス文化への悲しみを思い出す作品でもあります。

■2「時間」betcover!!

新しい音に出会ったという感覚では本年随一。70年代の硬派なフォークを思わせるボーカルラインに尖りまくったバンドサウンド。とにかく生々しいの一言。
ノイズも歪みも不明瞭さも含めてそのままパッケージされているような、とにかく熱量が凄い。本当に凄い。長らく忘れかけていた、音楽を聴いて衝撃を受ける、という感覚を久しぶりに呼び起こしてくれた作品であり、結果圧倒的な存在感として長く自分の中に残りました。
#2「狐」~#6「二限の窓」の5曲が特に好きですね。それって大部分なんですけど。名盤と思います。

■1「Valentine」Snail Mail

スネイル・メイルの2nd。オーソドックスながら高次元にあるメロディ、力強いアレンジ、迷いのない構成の良さ、インディーロックの神に愛されたとしか言いようがない歌声。どこをとっても素晴らしい。
刹那的な儚さをスパイスに彼女の今を切り取った傑作です。
曲のバリエーションや流れも申し分ございません。個人的な好みとしては#1「Valentine」や#5「Forever(Sailing)」のエンディング付近に出てくる憂いある展開が堪らないです。
特に「Forever(Sailing)」は、アーロ・パークスのデビュー作収録「Caroline」と並び、今年の女性Voのメロウな楽曲枠で2トップです。


以上です。
12月も残すところ僅かですが、これから出会う12月リリースの作品が上記に食い込むようであれば、年間総まとめの方でカバーします。

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