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Photo by
sabinekoland
【詩】水蜜桃
熱帯夜、氷を張った金盥の中で、柔い産毛の生え揃った桃を洗う。
かろかろと氷がぶつかり、痛いほど冷えた指先に血の色が滲んでくる。
指が沈むほどの桃の肌が、水滴を弾いて清潔な感じだ。
いささかに薄い爪を引っ掛けて皮を剥くと、蜜に濡れた果肉が覗いた。
外はしずかな白い満月だ。
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去年の夏に書いた詩です。暑くなってきそうだから載せます。果物は、どうしても桃が一番好き。いちばん色っぽくて贅沢な気持ちになるような……