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聞きたいことが、聞けた夜:六本木未来大学 田中泰延さん登壇
そんなこんなしながら、いよいよ時間が近づいてきました。そんなこんなの経緯はこちら。
ミッドタウンに今まで来たことはあるものけれど、その時はオープンしたての頃に友人と「ちょっと、六本木に出来た新しいビルがテレビで話題になっているし、ここは一回行っとく?」というノリで来たものの、ショップは普段は使わないクオリティの物ばかりで高く、レストランは「あ、そそうですよね、私みたいな田舎住まいには・・・ね」という状態だったので、ものの1時間も滞在することなく帰ってきた記憶以来です。
エレーベーターで指定の階にあがり、会議室までの廊下が「おぉ、何だかとても仕事ができるクリエイティブな気持ちになれる雰囲気だわ」と思いながら歩きました。(普段、福祉センター勤務で年配相手に仕事しているので)
直ぐに、六本木未来大学のコンセプト自体が『クリエイティブディレクションを学ぶための学校「六本木未来大学」』だったと思い出し、場違い感を今さら確認した私でした。
受付開始より少し前に着いたので並んで待っていると、「どうもありがとうございます~」と田中さん本人の登場です。
思わずざわつきながらも、そこは皆さん冷静でニコニコ笑っているだけでした。私がいつも行っているライブなら、絶対にもみくちゃです。
受付も終わり、席はせっかくさっきあんな出会い(と言っていいのか)したのだから、ここは来てますアピールを…と思い、ど真ん中!一番前…は、さすがに恥ずかしかったので3列目の通路側に。
写メは著作権云々に配慮していれば、いいよ。って事なので、この席にして正解でした。
そして、いよいよ始まりです。
そうそう、始まる前に、今日は「sil.do」というツールを使い、リアルタイムで田中さんに質問ができるという画期的な試みがありました。
じゃあ、私も問してみようかな~と思い繋げてみたのですが…。
今日は何と言っても『クリエイティブディレクションを学ぶための学校「六本木未来大学」』そう、クリエイティブディレクションを学ぶために来ているので、「田中さんにとって、クリエイティブディレクションとは何ですか」とか、「アイデアを形にする方法を教えてください」など質問がクリエイティブなのです。私が、「多宝塔は、何棟売れそうですか?」なんて質問をしたら確実に浮くよね…と思い、ここでも静観を決めました。(正確には、そこで質問できるほど肝が据わってません)
閑話休題(田中さんの真似です)
田中さんのトークといえば、「多宝塔」「骨伝導」等々の話が有名です。
するのかなぁ~でも、ここは何と言っても『クリエイティブディレクションを学ぶための学校「六本木未来大学」』だしね。
さすがに、最初からクリエイティブなお話で始まるのだろう…と、思っていたのです。
…が、そんな予想はあっさりと裏切られました。というか、すいません田中さんの事をある意味甘く見ていました。
さすがに、長いものに巻かれてしまう事もあるよね。と。
こんな所で「多宝塔」「骨伝導」等々の話は出せないよね~と。
出るわ出るわ。
「多宝塔」も「骨伝導」も。
私としては、なぜ「多宝塔」「骨伝導」を取り上げるのか興味もあったのですが、きっとそんな意味はなさそうだな。と勝手な判断で終わりにしました。私としてツボだったのは、出世魚論でした。あそこまで言い切られると、自分の知っていることが間違っていたのかも?と思うくらい。
そんな話を聞きながら、田中さん、ブレない人だなぁ。そうか、何度も言っている通り電通時代の年収よりも今を選んだ人なだけあって、誰かに迎合する気もないし、自分軸がはっきりしているので自分のやり方を貫き通せるんだな。と、笑いつつ感心しつつ尊敬しつつ聞いておりました。
そして、いよいよ…というか、やっと…本に絡めた本題です。
もう、ここで半分近く時間は過ぎていたように思えます。
きっと、クリエイティブな質問をたくさんして、今後の参考にしたい方達としては面白いながらも、歯がゆい時間だったのでは。
私は、この時間を堂々と半分近く切り裂ける田中さんの気概に感動しましたが。
さあ、始まる!と、思ってメモを頑張ってとっていたのですが、何よりスライドが早くて追いつかないです。喋るのもテンポいいですが、パワポをめくるのも早い。
田中さんは、本に書いてあることを惜しげもなく披露されてました。
私も、細かく話していた事を伝えたい気もするのですが、これはやはり実際に本を買って、参考書のように時々開いて「うん、うん、そうだよね」と日常生活に取り入れて欲しいので詳細までは書きません。
でも、せっかくなので話をされていた中で強く印象に残った事をいくつか。
一次資料まで調べる
これを読んだときにも、そうだよね。と強く思ったのを思い出します。
私は、凝り性なところがあり、一度手を出そうと思ったらそれなりに調べてから手を出します。そうなると、断然アレンジが効くのです。
以前、趣味でお菓子を作っていた時に基礎を身に着けずに作るので失敗しても原因が掴めない。それに限界と嫌気がさして、作るのを辞めようかと思ったのですが、ここはスクールに通って(自力でやりきる根気のない性格)基礎を学ぼうと。
結果、基礎を知ったことで色々とアレンジが可能になりました。失敗しても、何処がダメだったのか思いつくのでやり直しができます。
と、そんな経験を思い出し、1次資料まで調べる。という事は本当に有効だと思いました。(ただ、最近はお菓子は全く作っていませんが)
読者を想定してその人を納得させるより、まず自分が納得しないとおもしろいわけがない
これも、本当にその通りです。今、これをせっせと書いているわけですが、これがもし誰かを想定した文章で作ったせいで、自分らしさが抜けて後で見返した時に残しておこうと思えるのか。
思えないですよね。私なら消します。投稿しても直ぐに消します。
思いがけず自分の予想と反して納得いかない文章が評価を得ても、またその文章と同じように書こうと思わないし、その文章を書き続けたらきっと書くのが嫌になります。
なので、これってかなり重要です。人の目を意識して、反応のある文章を書きたくなる気持ちは私にもあるけれど、確実に消すのがわかっているのでまず自分の目を大切にします。
感動した時だけ書けばいいんです。
本当、これです。ちなみに、この前に田中さんは
感動がなければ書くのをやめましょう。ちなみに
(つまらない)も感動です。(わからない)も感動です。
と、言われてます。その通りなんですよね。何も心が沸き立つだけが、感動ではありません。
そして、後半に
書くことは、生き方どう生きるかを決めること
小さな旗を立てるように
きっといつか誰かがそこを通る
文字があなたをそこへ連れていく
のスライドの後だった気がします。(ちょっと、時間が経って記憶が曖昧です)
とても、感動的な進行ですね。
きっと、皆さんじ~んときていたのではないでしょうか。
少なくとも私はしました。
そして、次にこのスライドが現れた途端に、今日一番で写メを撮ろうとする手が伸びていたかに思えるシーンが。
さらっていきました…糸井さんが。
もちろん田中さんのお話は、すごくすごく面白かったし、魅力的でしたよ。
ただ、ここで糸井さんを出すって。田中さん、策士です。さすがです。
そんな楽しい1時間半ちょっとも、あっという間に過ぎ質疑応答の時間が来ました。
最後の最後の質問が、まさに今日の本題に近く
「アイデアを形にする方法は」の問いに田中さんは元気よく
「そんなものない!」
田中さんらしさ満載ですね。
そして、最後にこの本を担当された今野さん登場です。
このお二人の関係性は言わずもがな、編集者と作家を超えた関係ですね。
印象的だったのは、今野さんの「自分の心にうそをつかない」もそうなのですが、田中さんがその今野さんに対してそうじゃなかった時期があった。と正直に発言されている所でした。これは、ちゃんとした信頼関係を築けていないと言いにくいです。
と、こうしてクリエイティブディレクションを学ぶための学校「六本木未来大学」』は終了しました。
終始、あちこちから笑い声が聞こえて、私もですがとても楽しみながらも色々と気づける事が出来た有意義な時間となりました。
今まで、作家の方のトーク等や興味の全く違う分野のイベントに足を運んだことがなかったのですが、今回こうして参加してとても視野が広がりました。そして、帰り道思ったのは、「文字があなたをそこへ連れていく」のは書いた本人だけではなく、それを読んだ人にもあり得る事なんだなと。
田中さんの本を読まなければ、無かったことですから。
最後に、私のとても素朴な疑問を一つ。
もし、私が田中泰延さんについて書きたいと思い一次資料を当たりたいとなったら…。実家にお邪魔して、ご両親に生まれた時からの話を聞くのが一次資料に当たる事になるのでしょうか。
そんな事を考えながら検索をかけていたら、偶然見つけたのでこちらを。
あと、クリエイティブディレクターって何?なんとなく分かるけど、詳しくわからないって人に。(私だけかもですが)
という事で、長い間お付き合いありがとうございました!
少々強引に終わらせてる感がありますが、時間が経てしまい記憶が曖昧なのと、これ以上だとあれもこれもと長くなりそうなのでこの辺で失礼します。
また、感動(面白いことも、つまらないことも)を共有させていただけたら嬉しく思います。
では、また。