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lyrical school/Tokyo Burningの歌詞考察

Spotifyで音楽を聴いていると、新しい発見がある。確かMU-TONのデビューアルバム「RIPCREAM」を流している時に今回の表題曲に出会った。

lyrical school。名前は知っていたけど、ちゃんと聴いたことはなかった。基本的な情報だけおさらいしておく。

lyrical schoolは、2010年に結成された5人組ヒップホップアイドルユニット。オリジナルメンバーは全員卒業済。現在のメンバーはminan、hime、hinako、yuu、risano。
(Wikipediaより一部抜粋)

実態はあんまりよくわからないが、とりあえず「めっちゃHIPHOPしてるじゃねえか」と、初聴時に僕の琴線に触れた。
クレジットを調べると、作詞作曲:PESとある。昨年、メンバーのSUが「失楽園ベイベー」不倫で話題を呼んだあのRIP SLYMEのPESだ。そりゃHIPHOPにもなるか、と納得する。

lyrical school/Tokyo Burning

歌詞を見ていく。

Light up された街で今
会いたい気持ち 隠してる
曖昧なままよりただ「好き」を伝えたいの
Line up されたビルを抜け
咲いた花を抱きしめて
舞い上がって君のところに飛んで行きたいよ

「東京」という大都会で彼氏に恋い焦がれる女の子の感情を歌っている。
昼は仕事で会えない。夜が近づくと、やっと彼に会えると思いワクワクする。そんな恋情を「咲いた花」に例えて、早く「君のところに飛んで行」って「『好き』を伝えたいの」と綴っている。

アイドルソングの中で、相手に会えない時間の高揚感を歌うシチュエーションの曲と言えば、Not yet/週末Not yetにこんな一節がある。

世界中の恋人たちは
会えない時間に
愛を深める
(中略)
どれだけ大切か
会えないからわかりあえるよ

週末Not yetに比べて、Tokyo Burningは「大人の恋愛ソング」という印象を受ける。
ストリングスが主力を張る前者と、HIPHOPらしく重低音とクローズドハイハットが主の後者。このビートの影響ももちろんあるだろうが、週末Not yetは歌詞がとにかくわかりやすく作られているのだ。

韻について。
Light up」「会いたい」「曖昧」「Line up」「咲いた」「舞い上がって」と、1,2,3,5,6,7小節で「aia(i)」と頭韻している。それぞれaiの後に1拍ずつ裏で追従してノッていてグルーヴ感が気持ちいい。

また、4,8小節の「好」「ところ」とロングトーンはiで合わせて、「伝えたいの」「行きたいよ」と脚韻で締めている。

眠らない街で 今夜も二人で
焦げてしまいそうなくらい熱く抱いて
そんな世界で 東の端で
燃えるようなその手で離さないで
熱く抱いて 離さないで
この夜に

「Burn」と英和辞典を引くと、さまざまな意味がある。
(1)燃える。点火する。(2)焦げる。やけどする。(3)火照る。(4)[~ing for O]Oを求める。(5)光る。
この曲と関係がありそうな5例を挙げた。Bメロは序盤4例全ての意味が含まれている内容である。

「東の端」とは極東=日本の東京、という意味でいいんだろうか。唐突さからして何かの曲のサンプリングな気がするが、検索しても見つからなかった。何か見つけたら教えてくれ。

ゴリゴリのUS由来の三連符変化形のフロウが来て驚いた。
随所にエイッて入れたらもはやそれ。
「(エイッ)ねむらないまちーで」「(エイッ)こんやもふたりーで」「(エイッ)こげて」まで三連符でフロウをかます。
その後「し、まい、そう、な、くらい、あつ」と三拍子に合わせてライムする。
続いても、「(エイッ)そんなせーかいーで」「(エイッ)ひがしのーはしーで」「(エイッ)もえる」と三連符→「よう、な、その、て、で、はな」の三拍子フロウ。

Bメロは全て歌い出しが裏拍である。
四拍子に戻った「熱く抱いて~この夜に」も例外ではない。

また、綺麗に脚韻されている。
街で」「ふたりで」「抱いて」「せかいで」「端で」「離さないで」「抱いて」「離さないで」と規則的な配列になっている。

サビ

Tokyo Burning 君とFalling, Falling down
Tokyo Burning 君とFlying, Flying high
Tokyo Burning 君とFalling, Falling down
Tokyo Burning 君とFlying, Flying high

タイトルと印象的なワードがループしている。
上がってんの?下がってんの?はっきり言っとけ、と茶化したくなる。

Falling downに合わせて音程が下がり、Flying highに合わせて音程が上がっているのが洒落ている。

FallingとFlyingの頭韻は言うまでもない。
地味に「トキオ」と「きみと」、「Burning」「Flying」「Falling」と不完全韻でライムしている。

Linkup しているとなぜか
言いたいことが溢れてる
いっぱいあるけれどただ「好き」を伝えたいの
Lit up 君を想うだけで
Tic-tac 時が過ぎていく
midnight 今からすぐそばに飛んで行きたいよ

Verse 2も同じメロでA-B-サビと繋がっていく。

Linkupとは結合、連結を意味する英単語である。
…結合!?
ここまで直接的な表現をアイドルに使わせるとはPESも恐ろしい。とりあえず妥協点として「抱きしめ合っている」くらいの意味合いだと解釈する。

さらに、Lit upは光るという意味で、Verse 1で述べた「Burn」の五つ目の意味に類するものだ。

しかしこのAメロ、序盤4小節と後半4小節で矛盾が生じている。
序盤は、抱き合っていると言いたいことも纏まらないほど「好き」が溢れてしまうと歌っている。
後半は、夜が更けていく中で彼を想うといくらでも考え込んでしまう。深夜だけど衝動的に会いに行きたいと歌っている。
明らかに辻褄が合わないので、序盤2小節は抱きしめ合っている時の回想シーンで、続いて2小節は回想(妄想)の末の「『好き』を伝えたい」という想いだと考える。そうすれば、「『好き』を伝えたい」からmidnightからでも「すぐそばに飛んで行きたい」という結論に至ったという流れになる。

韻について。
Linkup」「言いたい」「いっぱい」「Lit up」「Tic-tac」「midnight」と、Verse 1と同じように規則的にia(i)で頭韻している。
他は基本的にVerse 1とほぼ同じ。

眠れないふりして 朝まで二人で
溶けてしまいそうなくらい強く抱いて
そんな都会で 東の街で
焼けるようなその手で離さないで
強く抱いて 離さないで この夜に

一番を一部改変したような歌詞。
溶ける、焼ける、という辺りは、やはり「Burn」の語義から引っ張ってきたようだ。

韻の踏み方もVerse 1に準ずる。

サビはVerse 1と同じ。

以上が歌詞の考察となる。
全詩を纏める。

lyrical school/Tokyo Burning

Light up された街で今
会いたい気持ち 隠してる
曖昧なままよりただ「好き」を伝えたいの
Line up されたビルを抜け
咲いた花を抱きしめて
舞い上がって君のところに飛んで行きたいよ
眠らない街で 今夜も二人で
焦げてしまいそうなくらい熱く抱いて
そんな世界で 東の端で
燃えるようなその手で離さないで
熱く抱いて 離さないで この夜に

Tokyo Burning 君とFalling, Falling down
Tokyo Burning 君とFlying, Flying high
Tokyo Burning 君とFalling, Falling down
Tokyo Burning 君とFlying, Flying high

Linkup しているとなぜか
言いたいことが溢れてる
いっぱいあるけれどただ「好き」を伝えたいの
Lit up 君を想うだけで
Tic-tac 時が過ぎていく
midnight 今からすぐそばに飛んで行きたいよ
眠れないふりして 朝まで二人で
溶けてしまいそうなくらい強く抱いて
そんな都会で 東の街で
焼けるようなその手で離さないで
強く抱いて 離さないで この夜に

Tokyo Burning 君とFalling, Falling down
Tokyo Burning 君とFlying, Flying high
Tokyo Burning 君とFalling, Falling down
Tokyo Burning 君とFlying, Flying high

そういえば、「Burn」には「人を騙す」「火傷」「怒る」という意味もある。
大塚愛を騙したSU&江夏詩織への怒りがこの曲に込められている、と考えるのは、少々陰謀論が過ぎているだろうか。

#歌詞考察 #音楽 #lyricalschool #リリスク #RIPSLYME




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