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性犯罪被害を警察に言えない理由。

性犯罪に関する記事が多いですが、どうしても自身が遭った被害が強制わいせつ致傷罪だったのでどうしてもその内容になりがちです。ですが、全ての犯罪被害者の支援拡充に対して法整備が急がれるべきであるという点は揺るいでいません。

ですが、今日の内容は「性被害に遭った人の暗数が増える原因」について、少し深掘って書こうと思う。

まず、1番の問題は「警察自体が性犯罪に対する問題を深く考えていない」と言う点である。相談をすれば、警察の記録には一定期間残る。被害届を出したいと被害者が警察に行ったとしても、それを防御しようとする傾向があまりに強い。仮に、被害届を受け取ったとしても「証拠がない、あなたの証言しかない、それに逃げられたんじゃない」などと精神的に「いうだけ無駄だった」と言うことを被害者に感じさせる。日本に捜査権があるのは警察と検察だけである。

過去数年で、性犯罪の検挙率は82%から85%である。警察は起訴・不起訴を決定できる権限のない機関でもあるに関わらず「二人で飲んでいて泥酔してたんだったら、それは相手が同意があったと思ってもしかたないよね」と言うような発言が存在する。そもそも、警察に行ったところで期待が持てないであるとか、被害を申告したら生活が破綻する(顔見知りが加害者に多い場合は特に)などで、被害届自体を出すことをためらう人が多い。また、警察側にとって「性被害の被害届」に関する問題は、日常的に多くある問題で「特別な重大事件ではない」ということになっている。警察が捜査機関としての機能を果たせていないことや、倫理観を兼ね備えた警官かそうでないかと言う運自体も絡んでくる。まず、「被害届」が出されたからと言って、法的に必ずしも警察が捜査をしなければいけないという決まりもない。となれば、煩雑な仕事を増やすよりも侵入盗や傷害事件などに力を注いだ方が警察にとってはるかによいのである。日本の性質上か「性犯罪にあったことを言うこと自体が恥である」と言うような風潮がある。それが、被害に遭った人たちの上げようと言葉を発しようとしている口をふさぐ形になっている。

では、被害届ではなく告訴状を提出すればいいのではないかと考えることもできる。告訴状を出された場合、捜査をしないことは法として許されていない。その知識がどれだけの人にあり、活用されているかと言う問題だ。

あるデータからだが、ここ5年間で強姦被害に遭った女性は約0.30%という数字になる。しかし、1万件ほどしか、警察が被害認知していない。ほかの人たちは暗数となっている。

では、残りの人はどうしたのかということである。暗数になった被害者である。これが殺人だったり、特殊詐欺だったらどうだろうか。警察は、「息子から電話があって、振り込んだのだけど」と老人が警察に来たら、相当に捜査をするわけだ。でもそれが、性犯罪になった途端に「ああ、またか」と言う態度が確実に存在する。それは、警察組織自体も「物が盗まれていない」と言うことや、成績として低い、費用対効果的に考えたらそこまでの労力をとならないと私は思っている。

被害届の受理がしっかりされ、加害者の検挙、加害者の起訴、刑事裁判での有罪判決、という過程を経なければ、加害者を法的に罰することは不可能なのである。そこまでの労力を警察と検察、裁判所だけが担っているわけではない。同じくらいかそれ以上に被害者も担っている。強姦事件でここまでの公開裁判に持って行ける割合が、2%なのである。そこから考えると、公開の刑事裁判で裁かれる加害者の人数は「たったの50人に1人」である。

今から20年以上前は7割以上が起訴されていたが、2018年段階で4割しか起訴されていない。この起訴の背景には「初犯で示談に至った」などがあるかもしれないが、なぜ年々、起訴率が下がっているのか。当然、起訴されなければ前科はつかないで、逮捕の前歴だけがある普通の社会人として放免される。しかし、被害者はそのまま普通の社会人として生きていくことはとても困難である。

公判で無罪判決が出るケースが散見されるが、ある裁判では裁判官が

「滅茶苦茶に殴る蹴るなどの命の危機ではない、抵抗できただろう」

などと言う、心理的に驚いたことや恐怖によって抗えないということを一切考慮しないという点を考えずに、法と証拠のみによって裁くべき裁判官の無知が働いていることだ。

また、仮に警察が加害者を検挙したとして、当然別々に供述調書は作られるし、被害者に加害者が何を供述したかは知らされない。そこに齟齬が生まれる、「私はものすごく嫌で、同意なんてしていなかった」と被害者が言っても「二人で飲みに行って、いい雰囲気だったから同意していた」となると、ほぼ起訴されない。そもそもが、なぜ二人で飲みに行った=性的同意になっているのかである。そんなことを「嫌よ嫌よも好きのうち」と言うようないつまで訳の分からないロジック展開をしているのかと思う。

性被害者の多くが、度重なる被害に遭うケースがある。そこに対して物事の本質を理解していない人は「受け入れてんじゃん」と言う。しかし、強姦等の不同意の性犯罪の多くが顔見知りである。そこに勇気をもって、被害届を出しに行ったが更なるセカンドレイプを警察で受けたら、もう二度とすがろうとは思えないだろう。そういった、学習性無力感というものなどの心理的構造を警察は一切考えていない。

検察官も加害者と被害者から供述調書を取る。私自身は警察からセカンドレイプ的な発言はされなかった、それは弁護士が存在していたからかもしれないし女性検事と男性検事だったからが故かもしれない。しかし、女性検事であっても「あなた、抵抗できるでしょ」「夜の仕事してるってことはリスクあるよね」と被害者に被害を誘発させたかのように言うケースもあるという。

客観的な数値を犯罪白書等から引用したわけだが、ご覧になってどうだろうか。これが法治国家と呼べるかと。

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