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ITS世界大会2024 ドバイに行きました!

こんにちは。TOYOTA Connected 先行企画部 Xunanです。
今回、2024年9月にドバイで開催された「ITS世界大会」を視察してきましたので、その様子をレポートさせていただきます。

ITS(Intelligent Transportation Systems)といえば、道路交通の問題解決や新しいビジネスチャンスの創出を目指す技術群で、毎年世界各地で開催されるこの会議は、業界の最先端技術が集結する場です。

今年は中東での初開催ということもあり、大いに期待して臨んだのですが、実際のところどうだったのでしょうか?その印象をシェアしたいと思います。


1. ITS世界大会の概要とドバイ開催の特徴

ITS世界大会は、北米、アジア、欧州が持ち回りで開催しており、今回はドバイでの開催。9月16日から20日までの5日間、世界中から集まった参加者たちが、最新のITS技術に触れ、新たなコラボレーションの可能性を探っていました。会場はドバイの中心にあるDubai World Trade Center。なんともゴージャスな会場ですが、会場の華やかさと比べると、展示自体は少し控えめだった印象です。

正直、中東という地域特有のユニークな技術や大規模な展示を期待していたのですが、驚くような新技術はあまり見られず、日本企業の展示が多く目立っていました。それでも、日本企業が取り組んでいるカーボンニュートラルや、再生可能エネルギーを活用した未来のモビリティ技術には目を引くものがありました。特に、燃料電池車(FCEV)や電気自動車の充電技術の進展は注目に値します。

ITS 会場
ITS 会場

2. トヨタグループ:広がるカーボンニュートラルとITSの未来

トヨタ自動車は、グループ全体での展示を行い、特にカーボンニュートラルとITSに焦点を当てた技術を紹介していました。大規模なブースで、トヨタグループ各社の技術が一体となって展示されており、自動運転技術を活用した事故ゼロへの取り組みや、AI技術によるモビリティの未来像が具体的に示されていました。自動車事故ゼロの実現を目指すトヨタのアプローチには、改めて感心しました。

TOYOTA

3. 他のOEMやTier1企業:ホンダ、デンソー、アイシンなど

ホンダのブースでは、FCEV技術が中心となり、カーボンニュートラルへの取り組みが強調されていました。特に歩行者や車いす、自転車などのモビリティ全体に対して、どう安全性を高めるかという技術展示が印象的でした。また、高速道路での合流時に事故を防ぐV2V(車車間通信)技術も実用的な視点で興味深かったです。

HONDA

デンソーの展示では、事故防止のための安全技術とカーボンニュートラルの両方に焦点が当てられており、特にバッテリーパスポートの取り組みが注目されました。これは、バッテリーのライフサイクルを管理する技術で、リサイクルを促進し、持続可能なモビリティの実現を目指すものです。

DENSO

アイシンの展示では、車室内のセンシング技術や「チョイソコ」と呼ばれる免許を持たない人向けのモビリティサービスが紹介されていました。これらの技術が、今後のモビリティサービスの多様化にどのように貢献するか、非常に興味を持ちました。

AISIN

4. ITS日本:圧倒的な存在感

ITS日本のブースは、全体の展示エリアで最大の規模を誇り、日系大手メーカーの技術力を感じさせる内容でした。各企業は、自動運転や交通モニタリング技術を紹介し、VICSのリアルタイム交通情報サービスや、国土交通省が進める自動運転車両に必要なインフラ整備の取り組みが強調されていました。

特に注目したのは、ドライバー不足に対応する自動運転トラックの物流支援や、沖電気の渋滞予測システムです。これは既存の交通データを可視化し、直近で発生する可能性が高い渋滞を予測する技術で、ストレスフリーなモビリティ社会を目指す提案として非常に印象的でした。

ITS 日本

5. ITS中国:スマートシティの未来を垣間見る

ITS中国のブースでは、都市全体をデジタル化するスマートシティの技術が展示されていました。特に大規模なカメラとセンサーを使った交通モニタリングシステムが目を引きました。このシステムは、車線や道路標識、車両の種類や色をリアルタイムで識別し、都市全体の交通状況をリアルタイムで監視・管理できるもので、まさに都市全体を管理する「頭脳」のような役割を果たします​。

また、AIを活用してバスルートやバス停の最適化を図る技術も紹介されており、効率的な公共交通の運行を支援するこの技術は、人口増加に対応するスマートシティの将来像を描くものでした。中国の技術は、スケールの大きさだけでなく、非常に実用的な側面もありました。

ITS 中国

6. ドバイの街並みとモビリティ現状

視察の合間にドバイの街中も観察しました。まず目についたのが、圧倒的なトヨタ車の多さ。特にカムリがタクシーとして街中を走り回っているのが印象的でした。また、バイクを使ったデリバリー業務も活発で、交通の流れを見ていると、まだ安全面での課題が多く残っているように感じました。デリバリーのバイクと乗用車が混在して走っている様子は、少しヒヤヒヤする場面もありました。

ドバイのタクシー


ドバイのデリバリーサービス

7. 最後のまとめ

今回のITS世界大会視察では、トヨタグループをはじめとする日本企業の技術力が際立っていました。一方で、中東開催ということで、ドバイや周辺地域からの展示にもっと期待していた部分もありましたが、そこまでの新技術は見られなかったのが正直なところです。しかし、カーボンニュートラルやITS技術の進展は明確に感じられ、特に自動運転技術やAIの活用が今後さらに重要な役割を果たすと再認識しました。

中東でのモビリティの課題や地域特有の状況を知ることができ、非常に学びの多い視察となりました。今後もこうした国際的な場で最新の技術を体感し、グローバルな視点でモビリティの未来を考えていきたいと思います。


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