心の中で動いていたものがフェミニズムだと気づいていなかった頃の私から今の私までを振り返る。 - 後編 -
前編
▷⒈ 中学校時代
▷⒉ 高校時代
3. 大学1年生
女子大に進学した私は中学、高校時代に感じていたモヤモヤをそこまで感じなくなっていたし、感じなくなればそれについて考える時間も少なくなっていった。
インカレの活動があったから男友達ができなかったわけではないけど、ほとんどの時間を一緒に過ごすのは女友達なので、男女間での差や空気を目の当たりにする機会が減っていたのだと思う。
◾️電車の痴漢
しかし、電車で大学まで通っていた私は初めて痴漢に遭った。
大学の友人と立って話していたところ、車内は空いているのに不自然に私たちの真横に立った中年の男がいた。なんとなくおかしな空気を感じていたのに逃げなかったことを後悔している。男は窓の外を見ながら電車に揺られたように偶然を装ったようだったが、明らかに肘で私たちの胸部に触れた。何回も。
私は周りに聞こえるくらいの声量で「なんか触られてるんですけど」と言った。逆上された場合のリスクを考えるよりも先に口が動いていた。誰も助けてはくれなかったけど。
そんな私の横で、日頃から痴漢に遭うことが多かった友人は既に諦めていたようだった。諦めたのか?痴漢されたことを認めようとはしなかった。「どうしたの?」「大丈夫だよ」と言いながら首を傾けてとぼけるような仕草をするだけだった。
男は知らん顔して次の駅で降りて行ったけど、悔しかった。痴漢されたことも。友人の言動も。
知らないおじさんに勝手に消費されなければいけない理由
周りにいる大人が助けてくれる世界じゃない理由
泣き寝入りしなければいけない理由
私は理解ができなかった。
中学生の頃の”同級生の男子の女性の性が人格から切り離されたモノを扱う(認識している)ような発言が気になり始めた(前編より引用)”時の感覚が鮮明に呼び起こされたようだった。自分は女性をモノ化して消費し満足する人間が心底大嫌いで、そんな時、肩が上下するほどの怒りの感情を持つことができる人間なのだと自覚した日だった。
車内で被った傷は一生消えないし、忘れることはない。
⒋ 今(大学2年生、4月から3年生)
この一件は間違いなく私がフェミニズムについて考えるキッカケになったが、あの男に感謝することはない。今でも他の女性が被害を受けている可能性を考えると腸が煮えくり返りそうだ。
私のお洒落やメイクは私のもの。私の髪は私のもの。私のミニスカートは私のもの。
男に好かれるためのものではない。消費されるものではない。
あなたが男のためにメイクをしたいならすればいいけど、私は違う。私たちは違う。
私の可愛いは、綺麗は、セクシーは、すべて私のものだ。
フェミニズムを知り学び始めた私は、昨日より少し強く、あしたはもっと輝く。