【短小説】眩しいあの娘
「パシャパシャパシャパシャ!パシャパシャパシャパシャ!」
ものすごい数のシャッター音だ
僕は今、陸上競技場に来ている
今、跳んだのはテレビで話題になった高校陸上界のアイドルだ
高校生の陸上大会なのにすごい観客の数だ
噂では芸能事務所のスカウトも足を運んでいるらしい
それにしても女子陸上ってこんな刺激的なカッコで競技するんだ…
女子がスタートラインに並ぶ
一斉に脂っこい男達はカメラを構える
欲求の大きさを具現化したかのようなデカいカメラだ
「パシャパシャパシャパシャ!!パシャパシャパシャパシャ!!」
くっ…こんなカメラで僕の好きなあの子も…
男子がスタートラインに並ぶ
「………」
一斉に脂っこい男達はカメラの調整を始める
なんと欲求に素直な人たちなんだ
人にどう見られているかなどお構いなしだ
そしてついに彼女の出番がきた
僕はコイツ等とは違う、純粋に彼女の美しい姿をカメラに収めるんだ
シャッターチャンス!
「パシャ」
彼女の砲丸は空高く舞いあがり、僕のシャッター音だけがその場に響いた
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