【短小説】突然の君の訪問
「突然の君の訪問」
「へぇ、綺麗にしてんじゃん?おっ、エッチな本発見!」
「ちょ、やめてよ!」
まさかこんなやり取りを高校のアイドルだった君と出来るなんて…
「あらー…ホントに最低限のモノしか置いてないね」
冷蔵庫、ロデオボーイ、ベッド…無趣味でつまらない男の部屋…なんだか急に恥ずかしくなってきた
ドアを開けた瞬間、君だとわかった、卒業して15年も経つのに君は全く変わってない
「テレビとか見ないの?」と彼女
「あ、無いからスマホのワンセグで見てるんだ」と僕
「たいへん!じゃあ受信料払わなきゃじゃん!今すぐこの契約書にサインして!」
「えっ?ちょっと…君、NHKの徴収員だったの?僕をだましたの?」
「ひどい…君、変わっちゃったね、授業を一番前で聞いてノートを取ってた君が…まさかNHKと契約を結んでないなんて…どうしてそんなことが出来るの?NHKじゃなくて悪魔と契約しちゃったの!?」
大袈裟な…
「ごめん…サインするよ…でも約束してほし…」
「シャラップ!サインアップ!」
「………はい」
「で?何を言おうとしてたの?」
「15年ぶりに東京でこんな形で再会できるなんて…すごい奇跡だと思わない?これって絶対なにかの縁だと思うから連絡先交換しようよっ」
「下心丸出し…そのぽっちゃりボディを鏡で見てみなよ?ロデオボーイもろくに乗りこなせてない君が私を乗りこなせると思う?…さようなら」
バタン…
僕と縁があったのは彼女ではなくNHKだったようだ