【短小説】懐かしく思うこと
「懐かしく思うこと」
先週、学生時代、部活で共に汗を流した友達から連絡があり、15年振りに再会した
最初は学生時代の懐かしい話で盛り上がっていたが話題は現在の話へ
僕は「外資系で時間に追われながら働いてるよ」と言った
友達は数年前に会社を立ち上げて順調に業績を伸ばしてると答えると急にビジネスマンの顔つきになった
…この流れはマズい
僕は慌てて学生時代の話に戻して事なきを得た
食事のあと、友達の買い物に付き合うことに
友達が立ち寄ったのはペルシャ絨毯の専門店
…嘘だろ?30代半ばでペルシャ絨毯にたどり着くか?
友達は屈託のない笑顔で絨毯を見せてくる
うまく笑えない…もちろん前歯が無いのを隠しながらというのもあるが…ここまで差がつくなんて…
屈託の無い笑顔と前歯の無い笑顔
別れ際に友達が言った
「お前が俺の会社に配達に来てたのを見かけてさ、あの頃が急に懐かしく思えてな。これからも荷物頼むからよろしくな!」
「ふふふっ…」
僕は笑った、おちょぼ口で
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