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ただ今日もライブをする ~UNISON SQUARE GARDEN ツアー2021 ぴあアリーナMM公演 ライブレポ~

どーも!!毎度おなじみの
#Shiba的ライブレポ でございます!!

このレポ、約7,700字記載しております。
いつもよりは、ちょっと短いレコメンドになるのですが、その分濃いものが仕上がったのかな、と思っています。よかったら、最後まで覗いてみてください!!

遅くなりましたが、noteを開いてくださり、ありがとうございます!これから始まる新たな音楽の旅に、少しだけお付き合い願えたらと思います。

前書き

「2021年も普通にライブに行く」とか書くと、時たまこんな疑問を頭の中に浮かべることがある。「"普通"とはなんだ?」

それは、俗にいう"当たり前"とやらが覆された世の中になった2020年から2021年という時間軸がもたらしたひとつのクエスチョンだと思う。私も、こういうこと... 特にこの日行ったライブのツアータイトルを見た瞬間に、そのことを思い浮かべてしまった。

こんな事態になる前の2019年に「今日も普通にライブに行く」とか書いたのなら、私のことをよく知る友人たちは「あいつ、今日もライブ観に行くんだね」くらいに思ってもらえたかもしれない。しかし、2020年末にこのようなことを書くと「なんでこの時期に行くの?」と疑問形で返されることがあった。それは、"普通"という言葉が、世の中の状況とかその人各々の持つ背景の上に成り立つ言葉であり、そんな至極当然の理屈があまりにも見え透いた2020年だから、その言葉の重みを感じたのだろう、と今となっては思う。

この日、横浜まで観に行ったライブのツアータイトルは「Normal」、つまり「普通」という言葉だった。それは、ライブというものにこだわり、そしてそこがロックバンドの居場所なんだという、彼らのスタンスを提示した約90分のライブであった。

UNISON SQUARE GARDEN、2021年のツアーの話を始めよう。

ユニゾンとの出会い

(突然私事を語るのが申し訳ないのだが)先日、私は大学を晴れて卒業した。4年間の大学生活は、今振り返ればとても刺激的で、いい意味でも変化をもたらしてくれた時間だったと思う。高校時代の私と現在の私では、見た目も価値観も違うと思うし、今の私のほうが(自ら言うのも変だけど)とても自己肯定できると思うし、プラスに作用することも多くなったと思う。私にとって、この4年はそんな時間軸だった。

そして、16年ほどの学生生活の幕を閉じる瞬間でもあった。小学校4年に初めてライブの洗礼を味わった私は、高校に入ってから(特に大学に入ってから)毎月のように様々なライブに行くようになった。150を超えるその公演は、どれも記憶に残るものだったし、どれもが私の細胞をつかさどる大切な部品になったような気がしている。

そんな学生生活のラストを飾るライブ、それは何なのだろう?

そんなことを考えていた。

そんなとき、頭に浮かんだのは、高校3年の7月の景色だった。

その日、私は静岡市清水文化会館マリナートにいた。翌週に吹奏楽部の後輩たちのコンクールを控えていた私は、運搬スタッフとして彼らのサポートを頼まれていた。そんな私は、彼らのためにできることはないかと考えていた。そこで目を付けたのは、ホールの下見ということだった。ホールの鳴り、反響板のこと、音響のこと、そういうものをひっくるめて、音の飛ばし方を意識してもらえたら、と当時私は考えていた。そして、そのコンクールの予選会場が、この清水マリナートだった。

コンクール予選1週間前のこの日、その会場ではとあるロックバンドのライブが予定されていた。ホールの下見ついでにそのライブを観ようと思った。どうやら、当日券が僅かながら出るらしい。それを買って観よう、と思っていた。そうしたら、偶然仲のいい先輩と遭遇した。彼は偶然そのライブのチケットを2枚持っていて、同伴者が見つからないまま興味のない母親を連れてこの場所にやってきていた。先輩の母親が私を見て一言「なんだ、ちょうどいい人いたじゃない」と。そうして、先輩の母親は帰ってしまった。

私は、その先輩からチケットを譲り受け、そしてその日のライブでやるであろうアルバムの曲を予習するために、先輩のiPodを借りて1時間くらい予習をした。そして、ライブに臨んだ。

結果、有名な曲以外全く分からなかった。
それは当然のことだった。
当時、このバンドはアニメ主題歌になった曲が大ヒットを迎えていて、その曲が収録されたアルバムをリリースして、初のホールツアーを刊行していた。そんなアルバムも、ライブの2週間前にリリースされていて、当時CDレンタルを使っていた私は、レンタルすることが叶わないまま、つまりは完全無防備のままライブに臨むことになってしまったのだ。その結果が、これだった。

その日の帰りの電車で、私は心に誓った。
「次に行くときは、念入りに予習して挑んでやる」、、、、と。

それが、私が初めてUNISON SQUARE GARDENに遭遇したライブの話だった。それは、アルバム『Dr. Izzy』のツアーのことだった。

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あれから、ユニゾンの曲を色々と掘りまくった。それなりに、好きな曲も増えた。そして、リベンジの日がやってきた。2018年5月の大阪・フェスティバルホールでの『MODE MOOD MODE』ツアーのことだった。凄く楽しめた・アルバム自体が面白かったから、ライブがとても楽しかった。そんな日だった。

それ以降、私の年間のライブ参戦スケジュールにおいて、ユニゾンは年1で行くほどの、欠かせないライブのひとつになっていった。19年は米子で、20年は倉敷で観ることができた。

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そして迎えた2021年、私はとある約束を思い出した。それは、仲良くしている年下の友達が「いつかユニゾンのライブに連れて行って欲しい!」と言ったものだった。もし、これを叶えるのなら今なのかもな。そんなことが頭の中に浮かんできた。その話をその子に伝えたら、「行きたい!」と二つ返事で行くことが決まった。

そうして、この日を迎えたのだった。

ぴあアリーナで観た景色

2021年3月23日(火) 横浜・ぴあアリーナMM。

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この会場にやってくるのは、この日が初めてだった。本当なら何度か行ってた、という話は最後に時間があったら書くことにして、今年最初の横浜でのライブはユニゾンとなった。

思えば、アリーナ規模でのユニゾンのライブがこの日が初めてだった。今までは、ホール3回、ライブハウス1回とみてきた中で、ユニゾンのアリーナ規模というものはこの日が初めてだった。

故に、この日のライブに関して少し期待している自分がいた。「アリーナ規模でのユニゾンってどんな感じなんだろう?」と。

定刻から30分後くらいに会場入り。スタンド2階の上手よりのステージ全体を見渡せる席に着いた途端、私は驚いた。あまりにも、ステージ上が淡々としていたからだ。なんとなく、規模が大きくなったから、LED(スクリーン)があるものだと思っていた。しかし、ステージ上には照明機材とギター・ベースのアンプ、ドラムセット、マイクスタンドと、必要最小限のものしかそこには置かれていなかった。

しかし、それは観ていくにつれて分かった。「普通」にこだわるから、このスタイルを行ったのだろう、ということを。

2020年の一歩、2021年のあたりまえ

先に、この日のライブを観て感じたことを少し、大まかではあるが触れていきたい。というのも、この日のライブに関して強く感じたのは、「普通のライブ」にこだわるという意識というものが、とても強い公演だったな、と思っていて。

というのも、そこには昨年秋に開催したツアー「USG 2020 "LIVE (on the) SEAT」を経たからこそ、思う景色がとても多かったと思うからで。このツアーは、着席指定が義務付けられており、座りながらライブを楽しむことを軸に構成されたライブであった。約1時間ほどのライブは、座りながらでもロックバンドのライブは存分に楽しめるということを提示したライブであった。

しかし、そのツアーを観ていると、いつものユニゾンのライブとは大きく違うことがいくつかあった。それは、構成に関するものだ。"いつもなら"SEの「絵の具」が流れて3人が登場し、1曲目に突入すること。最後には「UNISON SQUARE GARDENでした、バイバイ!」と斎藤宏介(Vo/Gt)が客席に叫び、ライブが終わるのだが、このツアーでは最後の「harmonize finale」の最後はステージ上に斎藤だけが残り、無言で客席に手を振りステージを後にしていった。そして、ステージ上には「SEE YOU NEXT LIVE」と書かれたバックドロップがある。そんな終わり方だった。

ユニゾンのライブは、90分間ほぼノンストップで曲を演奏して、MCは程々でライブが終わる。ステージ上からロックが鳴って、客席はそれを聴く。構造は普段と変わらないのだけど、どこか観客との足並みを揃えるための1時間だった、という感覚があった。

私の頭の中には、そんな景色があった。故に、この日のライブはそれと照らし合わせるように観ている自分がいた。

開演 18:35 終演 20:09

いつも通り、イズミカワソラ「絵の具」をSEにして、ステージ上に現れた3人。それぞれの音が鳴り始め、バンドは「Phantom Joke」でライブの幕を開けた。斎藤宏介(Vo/Gt)が「ようこそ!」といい始まった「オリオンをなぞる」で、観客は腕を振り曲を楽しんでいた。

この日のライブ前のアナウンスで「この日のライブは立ち上がっての鑑賞が可能です」という一言があった。昨年のツアーが全員座っていたこととは対照的に、この日のぴあアリーナはほとんどの客席が立ち上がりながらライブを楽しんでいた。この景色自体、「普通」というものを取り戻すための景色であったのだ。

「meet the world time」、「アトラクションが始まる (they call it "NO.6")」と、曲に連れて鈴木貴雄(Dr)のドラムプレイ、田淵智也(Ba)のベースと動きは加速していく。斎藤の「UNISON SQUARE GARDENです!『Normal』ツアーへようこそ、最後までよろしく!」という挨拶から、「メッセンジャーフロム新世界」、「コーヒーカップシンドローム」とライブのテンポを高めていく。この一言一言、一音一音が普段通り、「普通」のユニゾンのライブの景色であったのだ。3人は、そいつに徹している。観客はそれを食らい、楽しむ。いかにも、かつて以前以降関係ない、ライブそのものであった。

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1年半越しのシングルツアー

「BUSTER DISE MISERY」、「instant EGOIST」、「10% roll, 10% romance」と続き、ライブは早くも折り返し地点。ここでMCに突入。斎藤は「開演前の客席は静かすぎて、今日のお客さんは4,5人なのかなと思いました。で、ステージに出てきたらこんなにお客さんがいて。皆さんの皆さんがルールを守っていることをうれしく思います」と話した。普段なら、拍手と共に歓声も聞こえてくるMCの様子。このご時世、声を出せない状況ながらも、ライブに足を運んだ客席に感謝をまず述べた。

それに続き、この日のライブの趣旨を話した。2019年秋にリリースされたシングル「Phantom Joke」のツアーを行えていなかったこと、そしてシングルのツアーだから、セットリストを自由に決めることができたということを話し、「ここからもっと、皆さんを置いてけぼりにしていきますけども、大丈夫でしょうか?」と話し、ライブはよりマニアックな選曲へ続いていった。

the pillowsへのリスペクトが込められた「RUNNERS HIGH REPRISE」、2010年のアルバム『JET CO.』より「キライ=キライ」、シングル「Phantom Joke」のカップリング曲「ぼくたちのしっぱい」、2012年のシングル曲「流星のスコール」と、近年のライブで披露されていなかった曲が一気に続いた。

ここで、ライブの定番となる鈴木貴雄のドラムソロから始まるバンドセッションへ。3人の骨太な演奏が鳴り響いたのち、今の時期を想起させるような「パンデミックサドンデス」へ。そこから、田淵が好きというバンド・throwcurveのオマージュソング「スロウカーブは打てない (that made me crazy)」と、ユニゾンならではのロックは続いた。

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そこから止まることなく、ライブは終盤戦へ。2018年のアルバム『MODE MOOD MODE』のリード曲「君の瞳に恋してない」、代表曲のひとつ「桜のあと (all quartets lead to the?)」と、ポップな曲とカラフルな照明でライブを盛り上げ、ラストナンバー「mouse to mouth (sent you)」で3人はステージを後にした。

アリーナ内の客席が点灯したあとも、客席からはアンコールを求める拍手が続いた。その拍手に応えるように、3人は再びステージに戻ってきた。斎藤は「緊急事態宣言も明け、これからですね」と始まり、「ライブをもっとやりたいけど、今日はさっさと帰ってほしいので1曲だけやります」といい、アンコールは1曲「さわれない歌」を披露。

「UNISON SQUARE GARDENでした、またね!!」その一言をステージに投げ、3人は客席に手を振りながらステージを後にした。いつものように、強く高らかにはなった一言で、この日のライブは幕を下ろした。

約90分のライブは、2年前まで観ていたようないつも通り、”普通の”ユニゾンのライブだった。何も縛られることなく、ステージにはロックがあり、客席はそれを楽しむ。そんな景色が、”普通に”あったのが、このライブだった。

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この日のセットリスト

UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2021
「Normal」
2021.03.23 ぴあアリーナMM

01, Phantom Joke
02, オリオンをなぞる
03, meet the world time
04, アトラクションがはじまる (they call it “NO.6”)
05, メッセンジャーフロム新世界
06, コーヒーカップシンドローム
07, BUSTER DISE MISERY
08, instant EGOIST
09, 10% roll, 10% romance
10, RUNNERS HIGH REPRISE
11, キライ=キライ
12, ぼくたちのしっぱい
13, 流星のスコール
14, パンデミックサドンデス
15, スロウカーブは打てない (that made me crazy)
16, 君の瞳に恋してない
17, 桜のあと (all quartets lead to the?)
18, mouth to mouse (sent you)

・アンコール
19, さわれない歌

最後に・・・

最後に、というか序盤のほうで「本当なら何度か行ってた、という話は最後に時間があったら書くことにして」的なことを書いていた気がするので、簡単ではあるがそのことを少しまとめようかと思う。

2020年は、多くの人に会う1年になっていたはずだった。それは、私は普段のライブ参戦は1人で行くことが多く、1人だからこそその瞬間に没入したりじっくりと考えたり、時たま人目を気にすることなく踊ったりとしていた。それが楽しいから、1人でいたのかもしれない。

だけど、2020年は、誰かとライブを観たいと思っていた。少なくとも、その予定が多くを占めていた。中止になったライブのうち、8割ほどが一緒に行く人がいたり、誰かの同行者としてライブに行くスケジュールとなっていた。そんなことは、今までにないくらいだった。

そもそも1人で行くのが好きだった私が、どうして誰かと行きたいと考えていたのかというと、そうすることで得られる発見があるんじゃないかと思っていたからだ。自分の持つフィルターで観る世界と、誰かの持つフィルターで観る世界は全く違う。それは、その人が持つ価値観やバックボーンによってそれが形成されるから、それは人それぞれなものである。それ故に、その人が見た世界に触れたくなった。そこから、新しい気付きや発見をしてみたくなったのだ。

私1人だけだと、その世界は一定のものだけになってしまう。面白いを追求するアプローチが一辺倒になると、違う方向に飛び立てなくなる。それは、違う景色の楽しみ方を捨てているような気がして、もったいなかったのだ。だから、誰かと行って、新しい気付きを得たかったのだ。

そんな気付きの年に、2020年はなろうとしていた。しかし、それは叶わなかった。その理由は、言うまでもない。

その気付きの年の大きなハイライトとなるはずの場所が、このぴあアリーナMMだった。このアリーナは、予定だったら2020年4月25日にゆずの全国ツアーでこけら落としが行われるはずだった。私は、そのライブに友達含め4人で観に行くはずだった。4連なんて、今までになかったことだ。そんな興奮があるはずだった。しかし、そのライブは中止となってしまった。

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この日のぴあアリーナMMは、そんな中止になってしまったライブを経て、初めて訪れることとなった。初めましてがユニゾンで、個人的な初のユニゾンアリーナがこのライブになるというのは、なんか小さな縁で結ばれて様な感覚だった。

行けてよかった。そんなことを思ってる。

そして、この日一緒に行ってくれた友達の様子を見たら、過去の私を観ているようで面白くなっていた。ユニゾンのライブは初めましてだったその子は、ユニゾン自体そんな聴いていたわけではなかった。有名どころをちらほら知っていたような、そんな感じだった。で、こんなコアなセットリスト。まさに、置いてけぼりにされた1人だった 笑

その様子は、どこか16年の清水での私を観ているような気がして、なんか慈しむような気持ちになってしまった。その気持ちがよく分かったから、尚更に。その子とは、いつかアルバムのツアーでリベンジしようと約束して、この日は互いの家路についたのでした。

だから、この日のライブは個人的なライブ参戦記録を振り返るような、そんな1日だった。学生生活ラストのライブがこの日だったのは、偶然でもなく必然的だったのかもと、数日経って振り返ったらそう思うのです。

なんか、センチメンタルな終わり方をしてしまいましたね 笑

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