フィリピン人招聘の壁(2)
先ごろ営業を終了した九段下の英会話スクールのオーナーから聞いた話では、現状、フィリピンから正規に労働者を呼び寄せるには面倒なことがたっぷりあるそうです。具体的にはフィリピン側の手続きがとんでもなく遅い上に、政府があれこれ条件をつけてくるのだとか。例えばこんな感じの。
・一人につき22万円の給与を保証しろ
・給与とは別に住居を用意すべし
・社会保障完備が条件
・フィリピンの人材派遣会社を通さなければならない
この他にも航空券も受け入れる側が用意する必要があります。当人には買えないから。
つまり、日本語が通じず、日本人よりも勤勉ではなく(個人差はあるけど)、日本の社会通念や風習も未経験な外国人に対して大卒日本人と同等以上の待遇を求めているわけです。「お前ら、自国民の平均所得はいくらだ?」とも言いたくなります。
結局、よほどの思い入れでもない限り日本企業はわざわざ馬鹿高いコストをかけてフィリピンから労働者を招こうなどとは思いません。英会話スクールにしても、欧米人ネイティブスピーカーの方がよっぽど雇いやすいのだから。
要するに、フィリピン政府側は日本の足元を見ているつもりでも実際には思いっきり外貨を稼ぎ損なっているわけです。そんな条件は撤廃するか、せめて月給15万円程度に緩和すれば日本の受け入れは進むし、仮に1万人のフィリピン人が月15万円で働けば毎月5億円ほどの仕送りがなされるはずなのに。
推測するに、その人材派遣会社への手数料が政府高官やらの利権になっているのでしょう。そして年間数十億円規模の国益よりも関係者への数百万円程度(?)のマージンが優先されていると。なんと愚かな。
もしそうならドゥテルテ大統領、関係者を一掃した方がいいと思います。それらの面々は彼が敵視する麻薬の売人と違った意味で国を蝕んでいるわけだから。
折しも来年度から小学校での英語教育が始まる予定だけど、この機を逃せばフィリピン人が優先的に招聘されることはもうないかもしれないのだし。