'24 英インターナショナルS 傾向と見解
※PC版表示推奨※
こんばんは。
今年はドゥレッツァの出走で馬券発売があるインターナショナルS。
過去にはゼンノロブロイが2着に好走している本レースですが、
Sea the Stars、Frankel、Baaeed といった怪物が実力を示す場でもあります。
シュヴァルグラン以来の参戦となりますが、
日本馬の名を英国の地に刻むことができるでしょうか。
例のごとく、情報の完全性および馬券の的中を保証するものではありません
ので悪しからず。
馬券購入は無理なく自己責任で。
傾向
血統
【凡例】
年-着 馬名: 血統構成
2019年はやや欧州色が強めであるものの、
それ以外の年に関しては所謂 Nas+quillo(Nasrullah+Princequillo)の
組み合わせが目立ちます。
欧州的 Nas+quillo は言わずもがなである一方、
Storm Cat をはじめとする米血寄りの構成の台頭が窺えます。
以上のことから、日本馬にも一定の利はあると考えられます。
戦歴
血統傾向とも親和性が見られる部分ですが、
欧州的な質から “外れる”=北米、香港、豪、中東の芝G1好走歴を持つ
馬の台頭が目立ちます。
Mostahdaf、Ulysses については4着であり、幾らG1とはいえ
好走に含めるのか?という向きはあるかと思いますが、
以下のようにハイレベル戦であったことを推して図るべきでしょう。
(Japan の4着はインターナショナルS以降でもあり、
元々それほど強調はしないつもりです)
また直近4年は全て古馬が制しており、昨年は Paddington、
2017年には Churchill という、いずれもGIを既に4勝していた3歳馬が
敗れていることも注意に値すると思われます。
(尤も、種明かしをすれば両馬ともに内3勝以上が8F以下だったのですが)
印と短評
◎Zarakem
父 Zarak は仏ダービー2着馬でDubawi×Zamindar
(その母は無敗の凱旋門賞馬 Zarkava)。
Dubawi は直仔 Ghaiyyath、曾孫 Mishriff、孫 Mostahdaf と
4年連続連対(内3勝)中で本レースと相性は良好です。
本馬の母は Mastercraftsman×Teofilo だから
欧州主流の Galileo×Danehill の組み合わせになりますが、
本馬から見ればやや代を遡る形。
6代以前においては Mill Reef≒Riverman を継続しつつ、
Dancing Brave・Sillery を経由して Drone≒Red God と Lyphard を
クロスしていることも本レースの傾向に親和性があると思われます。
本馬の3代母 Luminosity からは米芝重賞勝ちの Little Treasure、
Rhythm of Light(その産駒に日本3勝のヴィアルークス)が
出ていることも裏付けとなりうるでしょう。
戦歴的には、3走前のアルクール賞が重賞初挑戦でしたが快勝。
G1初挑戦となった2走前ガネー賞では、外枠からノーストレスで
進みすぎたが故に道中で先頭、ラストは並走した逃げ馬と共に沈む形。
前走プリンスオブウェールズSではその反省を踏まえて一転後方で構え、
Auguste Rodin にあと一歩迫る2着でした。
調教師のインタビューにおいても上記の後方策は狙った形であったこと、
凱旋門賞を目標とした時に本レースの勝利が賞金+レース間隔的に
重要になることが明言されており、
ここでも勝つための差し競馬を冷静に選択するものと思われます。
また、今年のプリンスオブウェールズSにおける好走は欧州G1ながら
メンバー構成的にやや “外れる” ため、注目に値すると考えられます。
血統面から見ても戦歴面から見ても決して低レベルではなく
(Lord North は流石にピークアウトの感がありますが…)、
かつ北米・中東(・日本)に親和性があることが分かるかと思います。
本馬はその中で、直線前壁気味になりながらも勝ち馬と3着馬の間を
割って差してきた形。脚色的には寧ろ勝ち馬以上のものがあった印象で、
2走前の大敗が尾を引いてマークが薄くなるようならば絶好機、
その敗け方を考えれば多頭数想定も追い風になるかと思われます
(大外枠を引かなかったので一旦は安心しています)。
○City of Troy
おそらく1番人気を争うこととなる本馬ですが、
血統的には Justify×Galileo という米欧の雄を合わせ、
母 Together Forever はフィリーズマイル勝ちという超良血。
父 Justify の親和性は言わずもがなですが、
母は Sadler's Wells≒Nureyev 2×3 を中心としつつも
Miswaki・Chain Fern を介して Nas+quillo+Fleet も持つ形で、
血統傾向的にはケチを付け難いと思われます。
戦歴的には英2000ギニー9着や、(1着ですが)前走エクリプスSの辛勝と
一抹の不安要素はあるものの、英ダービーを含むG1・3勝の実績は
(距離の問題を加味しても)上位で間違いないでしょう。
事前見解の通り、本馬が “普通に勝っ” ても何ら不思議はないと思われます
(が、人気想定かつピンパーの気もありそうで本命は打ちません)。
▲Bluestocking
血統的には Camelot×Dansili×Distant View という構成で、
上記2頭より欧州寄りの感もありますが、
本馬の配合的な肝(かつ魅力)は以下を根拠とする
Tarfah≒Emulous 2×1 と言って差し支えなく、
その構成要素を見ても過去傾向との親和性は窺えます。
戦歴的には “相手なりに走る” タイプの馬で、
愛オークスでは Savethelastdance の半馬身差2着、
英チャンピオンズフィリーズ&メアSでは伏兵 Poptronic の
クビ差2着と3歳時は涙を呑んだものの、
明け4歳はG2を勝って挑んだプリティポリーSで
G1・2勝の Emily Upjohn を破って初戴冠。
前走キングジョージでは唯一の牝馬として出走、
伏兵 Goliath には後れを取りましたが、
といったメンバーを退けての2着は価値があったと言えるでしょう。
単純計算での斤量差がキングジョージ比較で
vs古馬牡馬: -1kg→-1.5kg(▼0.5kg)
vs3歳牡馬: +4kg→+2kg(▼2kg)
となることからも、単穴の資格は十分と見ます。
△Calandagan
血統的には Gleneagles×Sinndar で、父母 You'resothrilling の
Rahy×Storm Cat×Roberto×(~Bold Ruler)、母母父 Grand Lodge の
Secretariat≒Sir Gaylord 3×3 は傾向的に強調できる材料と思われます。
3歳馬の中で City of Troy と決着付けが済んでいないのが唯一本馬で、
10F 以上の重賞を3連勝中、前走キングエドワード7世Sでは大外一気の
圧勝と未知の魅力は感じられます。
(キングエドワード7世S;10分16秒あたり~)
騸馬は凱旋門賞への出走資格がないため、
本レースへの本気度は相対的に高いことも考えられる一方で、
上記に絡めて言えば "G1未出走の3歳馬" はそもそも母数が少ない
+好走歴がないことは(未知の魅力で買われやすいだけに)
注意が必要と思われます。
(逆に言えば、それ以外の3歳馬は総じてG1既走かつ好走経験があり、
それでもなお着外に敗れている馬が多いという事実があります)
抑えないと怖い側面はありますが本命は打ちたくなく、
人気しすぎるようであれば飛ぶ方に張るのも一考でしょう。
☆Maljoom
厳しいとは思いますが大穴枠。
血統的には母父 Teofilo が Galileo×Danehill で欧州主流の一方、
父 Caravaggio、母母 Woodmaven がかなり米血に寄った構成。
父の代表産駒(日本ではアグリですね)、母母からのラインを見ても
ほぼ間違いなく 10F はベストとは言えないものの、父の産駒は
米国芝では 9F まで対応する馬も出ており、傾向的に上手く刺されば。
戦歴的にはデビューから一貫して 8F 以下を使われており、
3連勝で独1000ギニーを制覇後は勝利から遠ざかっているものの、
3歳時にセントジェイムズパレスS4着、明け4歳になって近2走は
クイーンアンS3着→サセックスS2着とG1でも堅実に走っています。
ゲートが壊滅的に出ないため 8F では追込一辺倒、それでも上記のように
好走はできているので特に強く手を打っていないものと思われます。
この観点からは今回の距離延長は欠点を軽減しうるという見方もでき、
出たなりに中団~後方から溜めて差し込んでくれば◎と展開的に同居する
可能性もあると見て印を回しておきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドゥレッツァに関しては軽度骨折明けらしいということもあり、
とにかく無事に帰ってきてくれることを願っています。
タラレバではあり、欧米の風潮でもないですが、今見れば菊花賞で引退
→種牡馬入りという線もなくはなかったのかなと思います。
(価値付けは難しく、それはそれで…という向きもあると思いますが)
Alflaila は怖い方は印を回しておきましょう。かつ Alflaila に印を回すなら
当然 Royal Rhyme にも同様に印を回した方がよいかと思われます。
今後も英国G1の馬券発売があるかどうかは(出走機会的に)不透明ですし、
折角の機会なので楽しみに観たいと思います。
週ド真ん中の平日ではありますが、それでは良い夜を。