「福翁百話」第51話~第55話
51.処世の勇気・・・「人生の獣勇」に打ち勝とう
「一人満足して高尚な理論を説いても、凡俗愚人の興味の対象にはならないという実情は、風流な懐石料理の淡い味が田舎者の舌を喜ばせることができないのと同じで、論調が高ければ高いほど、聞く人がますます驚くだけというありさまだから、学者の世渡りの秘策は、時には田舎向きの濃厚な味にするなどして、超然と世間の外に居続けないということである。人は十人十色、風雅な人卑俗な人いろいろだが、誰とでも親しく談笑して、一緒に具を演ずるだけでなく、時に論じ合い、けんかもし、熱心に争っているうちに他を圧倒して、最後は我が意の通りに服従させて本来の目的を達する、という勇気がなくてはならない。その間には、何回か道理の範囲を超えて、厳しい言い方をすれば、獣類の争いに等しいこともあろう。ゆえに、これを名付けて「人生の獣勇」と言う。誠に見苦しいことだが、今の文明の程度ではどうしても避けられないこととして強いて許すしかない。」
願書に使用するとすれば、このような感じでしょうか。
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