忍殺TRPGリプレイ【フライ・ミー・トゥ・ザ・ネオサイタマ】08
前回のあらすじ:ネオサイタマで緊急事態が発生した。キョート城が突如市街地中心部の上空に現れ、殺人光線を乱射し始めた。すなわち、ロード・オブ・ザイバツが地上にマッポーカリプスをもたらしたのだ。ニンジャスレイヤーたちは死闘の末、ロードを罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰
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『受信したテロリストの外見情報と一致。あなたのアイサツは省略します』ネブカドネザルは相手のアイサツを待たず、両腕の赤熱モーターブレードを展開、ジェット噴射を行いながらロードへ斬りかかる!『ネブカドネザルは賢く強い!イイイヤァアアアーーーッ!』SLAAAASH!「アババーッ!?」
サツバツ!赤熱モーターブレードはロードが放つ白いタタミを斬り裂き、片腕を切断せしめた!「アババババーッ!」ロードは悶絶しながらタタミを蹴って加速!地下の琥珀ニンジャの間へ、あるいはその下の動力炉へ!琥珀ニンジャから三神器を、支配のメンポを取り戻せば、全ては……!
その時、赤黒い炎がロードの眼の前に迫った。上からではなく、下から。琥珀ニンジャの間から。その下の動力炉から。シルバーキーの念話を受けた2人のニンジャが開いたポータルから。制御水盤に飛び込んだニンジャスレイヤーは、動力炉に転送され……オベリスクから跳躍した!「Wasshoi!」
ニンジャスレイヤーの拳には、禍々しい「忍」「殺」の漢字をかたどったブラスナックル。ロードはタタミをSMAAAAASH!「グワ……アバ罪罰罪罰罪罰罪罰ーーーーッ!」ナムアミダブツ!インガオホー!インガオッホー!『キリステ・ゴーメン』ニンジャスレイヤーの背後にサツガイ・ニンジャ。
ほぼ同時にオベリスクから跳躍したサツガイ・ニンジャは、妖刀ベッピンをゆらめかせ、ロード・オブ・ザイバツの首を罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪
罪罰罪罰罪罰罪罰
???
キョート城本丸、天守閣。最上階から地下琥珀ニンジャの間を経て底部の動力炉までは、まっすぐに竪穴が貫き、吹き抜けとなっている。城内には、吹き抜けに沿って真鍮の螺旋階段があるが、最上階までには達していない。
ニンジャスレイヤーがロードの肉体を粉砕し、サツガイ・ニンジャがロードの魂を妖刀ベッピンで吸い上げた。その瞬間、無数の罪罰の漢字が三者を包み込んだ。ソガ・ニンジャソウルの最期のあがき。キョジツテンカンホーの暴走。彼のジツを抑え込んでいたシルバーキーたちは、最上階にいる。
ネブカドネザルはジェット噴射の勢いでキョート城を横に貫き、救援信号をキャッチして最上階へ飛んだ。彼の鋼鉄の愛社精神はキョジツテンカンホーを受け付けない。「イヤーッ!」KABOOM!ハウスバーナーはとっさにカトン・ジャンプを行い、真鍮の螺旋階段に飛びついた。下には黒い渦。
「に、ニンジャスレイヤー=サン!」彼は呼びかけた。ソウカイヤの敵ではあるが、このまま彼があれに飲み込まれては、良くない気がする。おそらくロードは死んだ。では、ダークニンジャ……サツガイ・ニンジャは?彼はなぜここにいて、ムーホンを起こし、ああなったのか?彼には何もわからぬ。
ゴゴゴゴゴ……! 制御水盤によって機能停止したキョート城は、残ったモータルソウルのエネルギーを燃焼させながら上昇していく。上昇?オヒガンへ?……ハウスバーナーは戦慄した。戻れなくなる。「ハウスバーナー=サン!」ヤモトが彼を発見し、呼びかけた。「決着はついた。逃げるぜ!」
◆
「……Wasshoi!」渦の中心からニンジャスレイヤーが飛び出した!彼は空中で回転し、琥珀ニンジャの間へ前転着地を行う。シルバーキーが黒い渦へ飛び込み、01分解される運命から彼を救出したのだ。広間に集まっていたザイバツニンジャたちは、悶絶し、混乱し、嘔吐し、うずくまって震えていた。
キョジツテンカンホーによる洗脳を解かれたのだ。そしてキンカクからの「凝視」が再び彼らを襲っている!『殺して回る必要はなさそうだな。その時間もねェ』シルバーキーはニンジャスレイヤーを導く。『確か、地下にヘリポートがあったはずだ。こいつらが逃げる前にそっちへ急ごう』「うむ」
『ああっと、肉体を忘れるところだった。下にあの兄弟がいるから、一緒に向かってくれ!』シルバーキーはストーカーの肉体へ飛び戻っていく。ニンジャスレイヤーは上空の吹き抜けにとどまる黒い渦を見上げ……ナラク・ニンジャが空けた穴から城の底部へと飛び込んだ。「イヤーッ!」
◆
最上階。ポイズンバタフライとガンドーは、フェイスレスの攻撃をしのぎながらドラゴン・ニンジャに呼びかける!「……決着は、ついたみたいよ!この城をなんとかして逃げなきゃ!」「おい!頼む!」ドラゴン・ニンジャは煮えたぎる水盤を前にチャドー呼吸を続けている。「……わかりました」
彼女は……「ユカノ」は答えた。「ドラゴン・ニンジャ」の自我はパワーを使い果たしたのか「凝視」のゆえか、ユカノの自我の奥底へ沈んでいく。「先に逃げて下さい。私は、このまま」「ダメだ!地上に戻るぞ!ニンジャスレイヤー=サンと約束しちまった!あんたを連れ戻すってな!」
ガンドーはユカノに叫んだ。「頼む」「……はい!」KABOOM!白いタタミを突き破り、フェイスレスの群れを吹き飛ばしながら巨大な何かがエントリーした!『ドーモ、救援信号を受信しました。私はオムラ・インダストリの所有するニンジャ戦闘兵器、ネブカドネザルです』「アイエエエ!?」
ガンドーは驚愕した。救援信号はナンシーが送ったようだが、彼に助けられれば、オムラに連れて行かれてしまう!「ドーモ、ソウカイ・シンジケート所属、シックスゲイツの『六人』の一人、ポイズンバタフライです」彼は代表アイサツした。「いいところに来てくれたわ。仲間がいるの」
◆
「カカカ……!こいつは……!」中庭、ホウリュウ・テンプル。ニーズヘグはキョジツテンカンホーの消滅を……ロードの死を直感した。スローハンドとパーガトリーも。ならばおそらく、パラゴンも生きてはいまい。ザイバツ・シャドーギルドはどうなる?城は上昇し、再びオヒガン空間へと向かう!
「……退くぞ」スローハンドは状況判断し、部下ともども地下ヘリポートを目指して駆け去った。彼はヨロシサン製薬と関係が深い。これだけの手勢を率いて行けば、受け入れてくれるだろう。共和国との戦争をやめさせ、キョートへ戻ることもできよう。ロードの後釜としてギルドを掌握できる!
「アナヤ……待たれよ!」パーガトリーたちもふらつきながら後を追う。「逃げていきますよ。どうします?」ディミヌエンドはニーズヘグに問う。「カカカ……!このムーホンのあるじはダークニンジャ=サンじゃ!置いて逃げられるか!あやつが戻るまで待つとしようぞ!」「ハイ!」
フェイスフルは……胸騒ぎがした。何がどうなっているのかはわからないが、このままダークニンジャやニーズヘグたちと同行すれば、ユカノやバンブーエルフとの合流は難しくなるだろう。ならば!「……スミマセン!オタッシャデー!」彼女はオジギしてテンプルから飛び出し、駆け出した!
◆
『信じられません!これは凄い!』バラバラバラバラバラ……夜空をNSTVの報道ヘリコプターが飛んでいる。リポーターがTVカメラで中継を行う。『御覧ください!キョート城が空を飛んでいます!なんということでしょう!しかも殺人光線を乱射しています!そしてあちこちで火災、暴動です!』
『何が起きているのでしょうか!? 総理大臣のラオモト=サン、ネオサイタマ知事代行シバタ=サンからは、キョート共和国の秘密兵器による攻撃であるとの見解が示され……現在、オムラ・インダストリの戦闘兵器が迎撃……湾岸警備隊も共和国との戦闘を……』ヘリコプターは遠ざかっていく。
エピローグ
バラバラバラバラ……! 上昇し続けるキョート城から、蜘蛛の子を散らすように多数のヘリコプターが飛んでいく。それを追ってキョート城からネブカドネザルが飛び出し、ミサイルを射出した。ヘリコプター群からもカラテミサイルやスリケンが飛び、迎撃する。彼らは北東へ飛び去っていく。
カスミガセキ・ジグラットから、湾岸警備隊の基地から、オムラ・インダストリやオナタカミの本社要塞から、キョート城を脱出したヘリコプター群への攻撃部隊が飛び立った。ヨロシサン製薬も、こうなれば彼らを迎え入れるわけにもいくまい。ヘリコプターは次々と撃墜され、墜落していく……!
ネブカドネザルの巨大な背中にしがみつくのは、ハウスバーナー、ポイズンバタフライ、そしてヤモト・コキとライトウォッチャーだ。彼らはソウカイ・シンジケートに所属しており、オムラとソウカイヤは提携関係にある。ヤモトの親友アサリは、ソウカイヤが庇護している。戻らねばならない。
ガンドーはともかく、ユカノやナンシー、シルバーキーをオムラやソウカイヤに回収させるわけにはいかない。ポータル兄弟やニンジャスレイヤーはなおさらだ。ポイズンバタフライは状況判断し、ネブカドネザルに載せても問題ない仲間たちを回収させ、一足早く飛び去らせることにしたのだ。
ヤモトは背後を振り返る。キョート城は崩壊しながら上昇し、黒い渦に飲み込まれていく。ニンジャスレイヤーたちは……脱出できただろうか。
◆
……キョート城本丸、地下秘密ヘリポート。ザイバツニンジャたちが急いで載って逃げたため、ヘリコプターは残り少ない。隠れて集まっているのはナンシー、シルバーキー/エーリアス、ガンドー、ユカノ。遅れて駆けつけたのはポータル兄弟とニンジャスレイヤー、それにフェイスフルだ。
向かう先は同じであったため合流できた。「ユカノ=サン!ナンシー=サン!」「良かった……!」「ドーモ、久しぶりね」3人は抱き合って再会を喜ぶ。「バンブーエルフ=サンは?」「ガイオンに残っている」ニンジャスレイヤーは手短に状況を伝えた。いずれ回収に向かわねばなるまい。
「それじゃ、ずらかるとするか。急がねえと」確保できたヘリコプターは1台きりだ。少々人数が多いが、地上に降りることぐらいはできるだろう。罪罰罪罰罪罰……黒い渦が迫ってくる。時間はない!「行くわよ!」ナンシーはヘリコプターとLAN直結した。バラバラバラバラバラ……!ローター回転!
7人は座席に乗り込む。地上からの迎撃は……先に逃げたザイバツニンジャたちが引き付けてくれるだろう。迎撃が来れば撃墜するのみ。……そして。ザイバツは滅んだが、ソウカイ・シンジケートは健在だ。サツガイ・ニンジャも……おそらく、生きている。滅ぼさねばならぬ。必ず。
ニンジャスレイヤーは混沌の魔都ネオサイタマを見下ろした。彼は戻って来たのだ。だが……内なるナラク・ニンジャは、沈黙している。
【フライ・ミー・トゥ・ザ・ネオサイタマ】終わり
◆つの次元AoS第二部・完◆
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