忍殺TRPGリプレイ【アイデンティティ・メルトダウン】04
前回のあらすじ:日本国とキョート共和国の戦争は長期化し、膠着状態に陥っていた。ザイバツ・シャドーギルドはロード不在のまま存続し、ソウカイヤ・オムラ連合は崩壊したが、キョートに潜入した工作員たちには知る由もない。今日もシステムの歯車は回り、戦争は続く!シマッテコーゼ!
◆
「「イイイヤァアアアーーーッ!」」ガガガガガガ……!2人のタツジンは鋼鉄のカラテ竜巻と化し、激しくぶつかり合う!フェリクロームはムテキで、トゥールビヨンはエスケープメント・ジツで、互いの致命の一撃を弾き逸らす!だが……トゥールビヨンの方が疲労は大きい!「くっ……しぶといぞ!」
トゥールビヨンは渾身のカラテを振り絞り、フェリクロームの無防備股間へアイキ・パンチ!「イイイヤァアアアーーーッ!」だが!「ムテキ!」ガキィン!防御!これは囮!「イイイヤァアアアーーーッ!」フェリクロームは瞬時にムテキを解除し、渾身の唐竹割り!SLAAAASH!「イヤーッ!」
キィィン……金属音が鳴り響き、両者は飛び離れる。一瞬の間に凄まじい数の攻防が交錯し、大気が濃密なカラテで張り詰めた。……その時!
ガガガガ……! トゥールビヨンの背後の防衛シャッターが上昇し、張り詰めた空気が流れ出した。「ヌウッ!?」トゥールビヨンは振り返り、そこに立つ2人を見た。「「ドーモ、トゥールビヨン=サン」」彼らはアイサツを繰り出す。「ナイトフライトです」「フレイムスローワーです」
「ドーモ、トゥールビヨンです」「フェリクロームです」2人もアイサツを返す。「IRCで連絡は受けました。ヴォルテージ=サンが殉職されたと」ナイトフライトは静かに声を震わせる。「済まぬ」フェリクロームは頭を下げる。「いえ。……アダウチしましょう」「ああ」2人はカラテを構えた。
「……ここのジェネレーターはどうした」トゥールビヨンは問う。「ご安心を、陽動ですよ。すでに御社の機密情報は頂戴しました。実際安くない代償でしたが」ナイトフライトは冷たく言い放つ。「あなたを生かして帰しはしません」防衛シャッターが再び閉じ、4人を閉じ込めた。最終決戦!
戦闘継続
5ターン目
「「イイイヤァアアアーーーッ!」」ナイトフライトとフレイムスロウワーは怒りを燃やし、トゥールビヨンへ飛びかかる!電磁クローアームが閃き、カトン・パンチが迫る!だが!「イイイ……イイイヤァアアアーーーッ!」トゥールビヨンは中腰姿勢で掌を上に向け、これを捌く!捌く!捌く!
なんたるタツジン!だがエスケープメント・ジツを維持するための気力も尽きた!ここからは純粋カラテあるのみ!「イイイヤァアアアーーーッ!」トゥールビヨンはナイトフライトの背後へ回りアイキ・パンチ!「インダストリ!」腰サイバネを180度回転させ迎撃!SMASH!「グワーッ!」命中!
「武田信玄!」よろめくトゥールビヨンめがけ、フェリクロームは必殺の唐竹割りを繰り出す!「イイイヤァアアアーーーッ!」トゥールビヨンは全身全霊全カラテを振るい、これを捌く!捌く!ゴウランガ!しかし3対1ではこのまま押し潰されるだけだ!「助けは来ませんよ。殺して来ましたからね」
6ターン目
ナイトフライトは無慈悲に宣言する。事実だ。さらにアルカナム・キョート支社のUNIXには電子ウイルスを流し込み、混乱させてある。よほどに手こずらない限り、増援が来ることはない!「インダストリ!」ZZZZT!電磁クローアームが閃き、心臓を狙う!SMASH!「グワーッ!」命中!通電!
トゥールビヨンはクロス腕防御し、かろうじて心臓貫通を免れた。しかし高圧電流が肉体を焼き、ニューロンを焦がす!彼はよろめき、大きく体勢を崩す!好機!「死ね!トゥールビヨン=サン!死ね!イイイヤァアアアーーーッ!」フレイムスローワーが懐に飛び込みカトン・パンチ!SMAASH!
「グワ……アバーッ!」サツバツ!トゥールビヨンはみぞおちに拳を受け、くの字になって後方へ吹っ飛ぶ!KRASH!防衛シャッターに激突!「アバッ……ザイバツ・シャドーギルド……バンザイ!サヨナラ!」KABOOOOM!トゥールビヨンは偽りの忠義を貫き通し、爆発四散した!インガオホー!
戦闘終了
エピローグ
「「「シューッ……」」」3人はザンシンした。トゥールビヨンは実際恐るべき強敵であった。1対1なら殺されていただろう。だが殺した。ヴォルテージのアダウチは果たされたのだ。しかし……爽快感はない。復讐を完遂したとて、彼が蘇ることはない。ニンジャは死ねば爆発四散し、痕跡も遺らぬ。
彼のバイタルサイン消失の事実と、その現場の場所は判明している。探せばサイバネの破片ぐらいは見つかるかも知れないが、悠長なことをしている暇はない。ここは敵地で、自分たちは破壊工作を行うテロリストなのだから。……3人は深々とオジギし、各々の心の中でヴォルテージに黙祷した。
「ムカつくぜ!腹いせにジェネレーターをマジで爆破してやろうかよォ!」フレイムスローワーは中指を立て、気持ちを吐き捨てた。ナイトフライトとフェリクロームも気持ちは同じだが、代弁されたことで少し冷静になった。「いえ、撤退しましょう。充分な戦果です。持ち帰らねばなりません」
2人は頷く。しかし、いつまで戦争は続くのか。自分たちはいつまで敵地に潜み、破壊工作を続けねばならないのか。次の標的は。次の命令は……?「そろそろ日本へ戻りましょう。アルカナムから手に入れた情報によれば、オムラ本社とソウカイヤ仮本部がオナタカミに襲撃されたらしいです」
ナイトフライトは声を震わせる。ザイバツ、ソウカイヤ、オムラ。3人が知らぬ間に巨大組織は崩壊し、再編の動きが加速している。このまま停戦となれば、3人はお尋ね者だ。日本に戻り状況の変化を待つか。それとも岡山県やオキナワ、海外へ逃げるか。仲間と本拠を失った彼らの行く末は?
【アイデンティティ・メルトダウン】終わり
リザルトな